東大発ベンチャー AgIC、SenSproutを支える川原准教授に訊く「大学・研究」の役割

東大発イノベーションエコシステム(1)東京大学大学院情報理工学系研究科 川原圭博准教 前編

 都市のイノベーションのあり方を研究・実践するRe:public(リ・パブリック)の田村大さんと内田友紀さんに、さまざまな組織でイノベーションを生み出している人たちにインタビューしてもらい、そのエコシステム(生態系)を探るシリーズ。今回は、「ユビキタス」の視点から魅力的な技術の種を撒く研究を進める東京大学大学院情報理工学系研究科 川原圭博准教授に、大学の研究室とイノベーションの関係、その意義を聞く。今回は前編。

[公開日]

[語り手] 川原 圭博 [聞] 田村 大 内田 友紀 [取材・構成] 石川 伸明 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ IoT ベンチャー 社会・公共 東大発ベンチャー

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研究も、会社を作ることも、「好きなことの延長」でしかない

内田(株式会社リ・パブリック 共同代表):
 外から見ると大学、特に国立大学というのはかなり“かたい”イメージがあり、イノベーションを起こすのが難しい組織という印象もあります。そういう中で、浅見・川原研究室は外部の人や組織とも繋がりながら本当にたくさんの新しいビジネスを生み出している。そこには、大学という組織を中心にしたイノベーションを生み出すエコシステム(生態系)が形成されているのではないかと思っています。そのへんをご自身は、どう意識されているのかからお聞きしたいのですが。
■浅見・川原研究室:http://www.akg.t.u-tokyo.ac.jp/

川原(東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授)
 内田さんに言われて、「そうだったんだ」と思いました(笑)。僕自身には、研究して会社を作ってイノベーションのエコシステムを回そうという意識はあまりありません。もともと技術が好きで、自分のアイデアで世の中が変わるかもしれないところにすごく惹かれて研究者になったのです。研究者になろうと思ったのも遅くて、大学生になった頃はそんな考えは微塵もなくて、どこかのメーカーに入って、好きなコンピュータをいじれたらいいぐらいにしか思っていませんでした。しかし、4年生になって研究室に配属されてから、ちょっとした視点の切り替えや発想の転換でも大きな研究につながることを体験して、「これは性に合っているかもしれない」と思うようになったのです。それで、修士に行って、博士に行って、大学に残るチャンスがあったので残ったということなのです。いろいろな会社を作っているのも、好きなことをやっている延長ぐらいにしか自分の中では思っていないんですね。

内田:
 会社をやることが好きなことの延長というのは、どういうことですか。

川原
 僕の中では、会社を作ることも結構自然なことなんです。学部の2、3年生の時にネットエイジというベンチャー企業でアルバイトをしていました。日本にビットバレーブームを起こした会社で、日本のネットベンチャーはそのへんから始まったと言っても過言ではないのですが、そういうコミュニティの中にいて、「ベンチャー企業ってこんな感じで作るんだ」というのを学生の頃見られた。それが、会社を作るということに対してほかの研究者と比べ心理的障壁が低い理由だと思います。

川原圭博川原圭博 東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授
2011-2013年ジョージア工科大学客員研究員およびMIT Media Lab客員教員を兼任.2014年 AgIC株式会社技術アドバイザー.2014年 JST さきがけ研究員 2015年 株式会社SenSprout 技術アドバイザー 同年 JST ERATO研究総括

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