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オープンイノベーション時代のキーパートナーの探し方

第13回

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5つの代表的な協業ネットワークの分類

 「個別機能アライアンス」とは、アライアンスの期間や範囲が限定的であり、お互いのコア・コンピタンスや事業戦略を共有することはありません。一般的には、マーケティングや流通といった個別機能の協力関係を契約ベースで行う場合が多いのが特徴です。

 一方、「戦略的アライアンス」とは、比較的長期にわたって戦略的な目標を共有することにより、相互の企業成長と価値を高めることを狙いとするものです。

 「コーペティション(協調と競争を合わせた造語)」とは、普段は競合関係にあるが、新しいプロダクトやサービスを市場に浸透させる段階において協力し合う関係を指します。ビデオカセットやDVDの規格化をめぐる電機メーカー同士の協調と競争は、コーペティションの典型例です。もう少し広い視点でみれば、秋葉原電気街やラーメン博物館などもコーペティションの類型に入れてもよいでしょうね。

 「ジョイントベンチャー」とは、主に新しい市場進出を狙うために複数の企業が出資しあって新たに会社を設立する、または既存企業の株式を買い取って共同経営する形態を指します。いわば、アライアンスと買収合併の中間ですね。ジョイントベンチャーというと、日本においてはどうしてもゼネコン業界を思い浮かべてしまうのですが、異業種による新しい事業、海外を含む新しい市場への参入に対する手段として幅広く利用されるようになってきています。コーペティションもジョイントベンチャーも広義の戦略的アライアンスの種類と考えることができます。

 「バイヤー・サプライヤー関係」についてはご説明するまでもないですよね。伝統的には系列や親子関係などによってこの関係は形成されていましたが、近年において無くなる傾向にあるようです。

 さて、企業経営者が自前主義から他企業とのアライアンスを行おうとする主要な動機は、時代によって異なります(図表4)。

企業経営者がアライアンスに求める理由の変遷図表4.企業経営者がアライアンスに求める理由の変遷

 ご存知のように、現代においては「オープンイノベーション」が重要な経営テーマの1つになっています。IBM Global CEO Study 2012の調査レポートによると、多くの企業経営者がビジネス成長にとって絶え間ないイノベーションを必要としている一方で、自社だけでそれを実行できると考えている経営者は4%に過ぎないと報告しています。

 また、経営学者のC.K.プラハードは『イノベーションの新時代』という著書の中で、現代のイノベーションは「顧客経験の共創」と「グローバル資源の利用」という2つの柱に支えられるようになるだろうと述べています。これは、冒頭にご説明したフォード社に象徴される大量生産時代のビジネスモデルとは全く異なるものです(図表5)。

個客経験の共創とグローバル資源の利用図表5.個客経験の共創とグローバル資源の利用

 たとえば、保険業界は保険商品を売るだけでなく、医薬メーカー、病院や医師、ヘルスケア企業と協働で継続的な医療プログラムを患者に提供するケースを取り上げています。また、タイヤメーカーはタイヤにセンサーを埋め込むことにより、顧客に対する経験価値を高めるためのサービス実験をしているケースも紹介しています。

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協働ネットワークの目的と必要なパートナー

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

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