“スタートアップのように考える”デジタル先進国・エストニアがイノベーティブである理由

新経済サミット2016 基調講演レポート

 4月6日から7日にかけて「新経済サミット2016」が開催された。EU(欧州連合)最年少の首相である、エストニア共和国首相ターヴィ・ロイバス氏の基調講演では、世界でも類を見ないデジタル先進国として注目を集めつつあるエストニアのオンライン投票システムや電子ID制度の取り組みと、それを支える4つの柱について語られた。

[公開日]

[取材・構成] 岡田 弘太郎 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] スマートシティ テクノロジー 電子政府 e-residency オープンデータ

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イノベーティブな小国エストニアのデジタル政府を支える4つの柱

 「エストニア」という国名を聞いて、何を思い浮かべるだろうか? 1991年のソビエト連邦崩壊とともに独立したエストニアは、過去25年間で急速なデジタル化を遂げた。人口は東京都の十分の一ほどで約130万人、ヨーロッパの中でも人口一人あたりのベンチャー企業の数が一番多い。そんなエストニアの「デジタル化」が成功した例のひとつに、エストニア人によって開発・共同創業され、最終的にマイクロソフトに買収されたSkypeがある。

 ターヴィ氏はエストニアのデジタル政府を支える4つの柱である「主権と国家安全保障」「良いビジネス環境の整備」「技術インフラ、スキルの開発」「政府によるデジタル革命の推進」について語った。

 まず1つ目の柱として挙げられたのが「主権と国家安全保障」。経済が大きく変化を遂げようとも、国家の抜本的な要素である「主権と国家安全保障」は普遍的なものだ。世界で国際法を軽視する動きがある中で、ターヴィ氏はこう語る。

ウクライナ及びシリアの紛争は続いており、人の移動とテロ行為によって状況は悪化しています。21世紀に世界が直面する問題は、すぐにやってきてすぐに去るわけではなく、長く続くものです。政府はその危機的状況に対処していかなければいけません。

エストニアでは最短20分で会社を登記できる

 2つ目の柱として挙げられたのが「良いビジネス環境の整備」。特徴的なのはその税制度だ。エストニアでは法人税は一律20パーセントであり、国際税制財団によれば「OECD諸国の中で最も競争力のある税制を持つ国」とされている。

 良いビジネス環境の整備は税制だけではない。「エストニアの価値観で重視されているのは、約束や時間を守ること」とターヴィ氏は語り、日本との意外な共通項を指摘した。そしてエストニアの「デジタル化」の一例として、会社の設立がいかに容易かについて語った。

エストニアでは会社をつくろうと思ったら最短で20分、長くても数時間のうちにオンライン登録のみで、会社を登記できます。税金申告も、銀行業務も、契約もすべてデジタル上で処理できてしまうのです。

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