寿命が延びる時代の「不都合な真実」、シンギュラリティ時代の「キャリア構築」

第2回

 前回の記事では、世界的に議論されているThe Future of Work(未来の働き方)を定義し、飛躍する技術革新に加えて、職業生活において最も重要な変化としての「平均寿命の目覚ましい上昇」に関してまとめました。
 今回は、シンギュラリティ(技術的特異点)を迎えると言われている2045年に、どのような社会環境で、どんな仕事を、どのようなワークスタイルで行っているのか。これからのキャリア形成においてどのようなことを意識していくべきかを、HRTech事業者の目線からの考察として、まとめていきます。

[公開日]

[著] 池見 幸浩

[タグ] IoT AI・機械学習 ロボット ワークスタイル 社会・公共 HRTech

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進化する人類は、不老不死?

 人の平均寿命は延び続けます。卑弥呼で有名な「魏志倭人伝」にも、見解が分かれるものの、以下のような記述があります。

其人壽考或百年或八九十年
(その地の人たちは寿考で、あるいは百年、あるいは八・九十年ぐらいである)

とあり、寿命が100歳であったという説もあります。本来、われわれ人類の「動物としての生命力」はもっと強い可能性がありますが、少なくとも日本においては、約100年間で平均寿命が2倍になった事実があり、これからも寿命が医学の進歩等により延びることは間違いないでしょう。

 一説には肉体としての寿命は120歳程度とも言われていますが、映画「トライセンデンス」で有名になった、脳データをコンピュータ・ネットワークにアップロードする「Mind Uploading」は世界中で実際に研究されており、人工知能の目標の一つとも言われています。

 「人の精神がすべてデジタル化され、疲弊・老化することなく、オンライン上で永遠に生き続ける」という様々なSF映画が描いている未来の姿は否定できるものではなく、実現性が増していると見る向きもあります。

 また、前回も説明したGNR革命(Genetics:遺伝子工学、Nano Technology:ナノテクノロジー、Robotics:ロボット工学)によって、寿命が延びること以上に、肉体の老化スピード自体も激しく鈍化、または、遡る時代が十分ありえると考えられています。

 2020年の東京オリンピックの陸上競技では、オリンピック金メダリストを、パラリンピックメダリストが抜く可能性もあり、テクノロジーと融合した人類が従来の人類以上のパフォーマンスを発揮する時代は、すぐそこまで来ています。いよいよ今年スイスでは、最先端ロボットテクノロジーを駆使したパワードスーツ、ロボットアーム、強化義足を装着した障害者スポーツ選手のオリンピック「サイバスロンCybathlon)」の開催が予定されています。

 MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏によれば、『今までの人工知能は、人間とは別の「独立した知能」と考えられていたため、どうしても、人工知能を「機械との競争」として人類の競争相手としてみる意見がありましたが、そのような独立した対象ではなく、技術の進歩の一つである人工知能を「人間の拡張」という視点から考えた際には、「人工知能」ではなく、「拡張知能 Extended Intelligence」としてとらえるべき』とのことですが、前述したサイバスロンが成功した暁(あかつき)には、この技術の進歩と人類の関係を肯定的かつ前向きなワクワクする未来につなげてくれる可能性は十分あります。

Cybathlon 2016: Official Trailer

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