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生命の進化の系譜はヒトから「テクニウム」へと移る(ケヴィン・ケリー『テクニウム』)

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言語の発明が結ぶ「生命の六界」と「テクニウム」(本書より)

 本書は、「そもそもテクノロジーとは何なのか」という疑問を元に、テクノロジーの本質を紐解き、未来を探る。そこで明らかにされるのは、我々生命と、テクノロジーに基づくシステム「テクニウム」とが、進化の系譜の上で連続であるとする仮説だ。ところでテクニウムって何だろう。

 本書によれば、「テクノロジー」という言葉は、1882年にゲッチンゲン大学経済学教授ヨハン・ベッグマンが産業革命による機械製品の普及を論じるために使ったドイツ語「Technologie」からきている。そのさらなる語源はアリストテレス『修辞論』に初出する「Technologos」だが、その正確な意味ははっきりしないそうだ。

 テクノロジーが個別の方法や装置を示すのに対し、本書は新たに「テクニウム(Technium)」という概念を提唱する。テクノロジーが大規模に相互接続されたシステム全体を指し、「自己推進的なニュアンス」「自己強化する創造システム」の概念を含む。

われわれの周りでいま唸っている、より大きくグローバルで大規模に相互に結ばれているテクノロジーのシステムを指すものとして<テクニウム technium>という言葉を作った。

テクニウムはただのピカピカのハードウェアの範疇を超え、ありとあらゆる種類の文化、アート、社会組織、知的創造の全てを含む言葉だ。それには手に触れることのできない、ソフトウェアや法律、哲学概念なども含む。そして最も重要なことは、われわれが発明をし、より多くの道具を生み出し、それがもっと多くのテクノロジーの発明や自己を増強する結びつきを生み出すという、生成的な衝動を含んでいるということだ。

 個別のテクノロジーよりもさらに抽象度が高く、包括的なこの概念が、本書の主人公だ。本書によれば、テクニウムの起源であり、テクニウムと我々を繋ぐものが「言葉」である。

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最初の特異点「言葉」は何が革新的だったのか(本書第2章より)

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弦音 なるよ(ツルネ ナルヨ)

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