日本発世界ベンチャーを生むために、VCアニス氏が仕掛けるビッグイベントとは?

フェノックス・ベンチャーキャピタル「Startup World Cup」発表インタビュー

フェノックス・ベンチャーキャピタルのアニス・ウッザマン氏。日本のベンチャー企業の10社以上に投資をおこない数社を上場させ、今後も3年から5年の間で200億規模の投資をおこなうという。さらに来年3月には世界最大級のスタートアップイベント「Startup World Cup」を開催する予定だ。海外VCとしては珍しく日本企業に投資するウッザマン氏に、日本のベンチャーに投資する理由を聞いた。

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[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ ベンチャー

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なぜ海外VCは日本のベンチャーに投資しないのか?

– 日本のスタートアップに注目されている経緯についてお聞かせください。

日本の東京工業大学を卒業しIBMに入社しました。その後シリコンバレーのベンチャーと関わる機会が増えて、フェノックス・ベンチャーを設立しました。世界中で85社以上、日本では10社以上に投資をしています。日本への投資を始めたのが2012年です。その頃はまだ日本のベンチャーに投資することで、本当にリターンが得られるのかどうか不安でした。初めて投資した「秘密結社鷹の爪」というキャラクターを持つディー・エル・イーが2013年にマザースに上場して自信をつけました。
その頃と比べると、今の日本のスタートアップのVC環境は大きく変化しました。とはいえ、依然として日本企業に投資する海外のVCは増えていません。

– なぜ海外VCは日本のベンチャーに注目しないのでしょうか?

日本の企業は、けっこう良い製品・サービスを出していても、「自分たちが世界で一番」とは言わないんですよ、奥ゆかしい文化のせいでしょうか(笑)
アメリカの場合、ベンチャーだけでなくIBMのような古い企業も新しい分野にどんどん進出していって、そのことを対外的に発信する。日本は発信力とマーケティングが弱いように思います。

– その中で日本での投資先が数社上場していますが、優良なベンチャーを見抜く基準は何でしょうか?

その後、電動バイク・電動三輪のテラモーターズ、オンライン旅行ビジネスのエボラブルアジア、人工知能ベンチャーのメタップスが上場しています。他にも有望なベンチャーとして、FinTech系のマネーフォワード、ヘルステックのFiNC、オンラインメディアのZuu Onlineなどにも投資しています。
 私の投資の基準は、最初から世界に出て行く意思があるかどうかです。情熱とマーケティングだと思います。世界に出ていく大きな夢を持っていて、その上で日本ですでにある程度の立ち位置を確保出来ているかどうかが基準です。

フェノックス・ベンチャーキャピタルCEO アニス・ウッザマン(Anis Uzzaman)氏

– 海外進出にあたってどのような協力をされてきたのでしょうか?

米国進出の時に保証人のような形で名義や登記先のオフィスの提供をしたり、海外のメディアの紹介をしたりという協力をしてきました。
ベンチャーが海外で成功するためには、まずメディアとのリレーションを作る必要があります。
アメリカではTech Crunch、アジアではTech In Asiaの記者などとのつながりや、プレスリリースのディストリビューション会社の使い方を知っておく必要があるのです。フェノックスはTech In Asiaの最大株主でもあるので、そうした手助けは出来るのです。また海外事業でのパートナーの紹介なども積極的におこなってきました。

– ブロックチェーン推進協議会のアドバイザーもされています。日本のFinTechベンチャーはどのように収益化を図れるのでしょうか?

たとえばブロックチェーンのベンチャーでいえば、彼らの技術を大手の技術にライセンス供与したり、SDK(ソフトウエア開発キット)や解析手法を提供するなど、B2Bでビジネスをすることができます。単にベンチャーが大手から仕事を受託するということではなく、大手企業の方がスタートアップにつながりたいと考えているのです。とくにブロックチェーンなどは、大手金融機関はベンチャーと提携していかなければ将来生き残れないという危機感を持っている。日本のFinTechベンチャーのコア技術は高いので、大手金融機関との協業でも決して弱い立場にはならないでしょう。これは日本もアメリカの大手銀行も同じです。

– 今後の計画を教えて下さい。

Startup World Cup」というグローバルなスタートアップ・コンペティションをフェノックスの主催で開催します。これは世界の15ヵ所のリージョンでスタートアップを募り、2017年の3月にサンフランシスコでファイナルイベントを行い、優勝者には100万ドル(1億円)の投資賞金を与えるというものです。

サンフランシスコで催されるグランド・フィナーレでは、クライナー・パーキンスのパートナー エリック・フェンテックスターズの創業者デイビッド・コーエンYコンビネーターのパートナー ケビン・ヘイルが審査員となり、プレゼンテーターは2500人の会場で競います。
また、日本での予選は9月21日に開催される「アドテック東京」(ad:tech tokyo)のプログラムとして行なわれます。こちらの審査員も凄いメンバーになる予定です。東京国際フォーラムで1200名の会場で、ネットワーキングの価値も高くなります。こちらの募集の詳細は発表しているので、世界を目指すスタートアップの方はぜひチャレンジしてもらいたいと思います。

アドテック東京公式サイト

【Startup World Cup】

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