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IoTビジネスのアイデアのひねり方:ソラコム玉川×エスキュービズム武下対談(前編)

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日本のIoT通信プラットフォームベンチャーの草分けの玉川憲氏、IoTの各種サービスを立ち上げているエスキュービズムの武下真典氏の対談の前編。二人の共通点はエンジニア視点でIoTを推進していること。それからどちらも関西人。IoTでビジネスを進めることについて、互いに疑問をぶつけ、語り合った。

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アイデアが思い浮かばなかったらドラえもんに泣きつく時をイメージせよ

タイトルソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
IoTの普及を背景に、まずはIoT向け通信サービスを2015年9月に提供開始した。わずか1年足らずで現在サービスは8種類、顧客は4000社以上で海外展開も進めるなど破竹の勢いがある。

エスキュービズム 取締役 武下真典氏(以下、武下):ソラコムさんのこの1年の立ち上がり感が半端ないですよね。通信簿なら5ですよ。満点。なぜこんなに一気に普及できたのでしょうか。

ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏(以下、玉川):1年が過ぎましたが、5年くらい過ぎた気がします。

武下:ベンチャーの規模ではないですよ。

玉川:いろんな定義がありますが、規模という意味なら中小企業かもしれません。我々はシリコンバレー型の「スタートアップ」と呼んでいます。ベンチャーキャピタルから出資してもらい、ビジネスを立ち上げるという形です。

武下:いくら調達できましたか?

玉川:これまでで37億円です。

武下:すごい。まずおうかがいしたいことなのですが、昨今「IoT」が注目され、IoTでビジネスを始めようという動きがあります。しかし多くはどこから着手したらいいのか分からないと思うんです。そのヒントをですね……。

玉川:それならむしろ武下さんの本(『はじめてのIoTプロジェクトの教科書』)がいいヒントになるのではないでしょうか(笑)。

『はじめてのIoTプロジェクトの教科書』(Amazonリンク

武下:本では「ドラえもんに泣きつくのび太君」を例えにしています。いまIoTが注目されているので、企業の上司が部下に「やれ」と命令するのですが、部下は「どこから始めたらいい?」と固まってしまうのです。そこでドラえもんに泣きつくときののび太君をイメージするといいヒントになると思います。何に困っているから泣きつくのか。それは事業や経営の課題になります。例えば「客単価を上げたい」とか。そうしたらドラえもんは何を出すだろうかを想像してみると、発想のヒントが浮かんできたりします。

玉川:課題を明確にするのは大事ですね。エスキュービズムが出した「おかわりコースター」はどのような経緯であの製品に行き着いたのですか?

武下:課題があるなら「まずはプロトタイプを出そう」という考えがあります。プロトタイプから実案件につなげることもありますから。うちの強みはハードも作れること。

玉川:ハードとソフトの両方できるところは少ないので、両方バランスよくできるのはいいですね。

武下:ハードは思ったより難しくないんですよ。できる人に頼めばいい。この前はハードを頼めそうなところを探したら大田区の工場が見つかりました。そこに電話して頼みました。

玉川:ハードとソフトの両方が関係するIoTはクラウドの登場により難易度が下がりました。一定の労力を惜しまなければ形にできると思います。クラウドサービスを利用して、通信はソラコム、システムはエスキュービズムにするとか。

武下:そこタイトルにしたいですね!「通信はソラコム、システムはエスキュービズム」って。ところでソラコム創業のアイデアはどこから?

玉川:前職(アマゾンデータサービスジャパン)時代、うちのCTO(安川健太氏)とビール飲んでいたときに「クラウド上で通信システム作れるよね」という話で盛り上がりました。その夜は眠れず、仮想のプレスリリースを書いてから寝たんです。アマゾンの文化で、実際にサービスを作る前に仮想のプレスリリースを書いてみるというのがありまして。

武下:そのときは起業を考えていましたか?

玉川:いいえ。ただ当時明確だったのは「IoTのシステムはクラウドでないとムリ」ということです。大量のデバイスからデータが送られるので、インフラをどのくらいスケールさせればよいか分からないから。だからAWSなどクラウドが必要。しかし通信に課題があると気づきました。そこでIoTに特化した通信サービスを提供するビジネスへの着想をえました。

武下:競合はどこになるのでしょうか?

玉川:IoTに特化したものに限定するとないです。

武下:ぼくは「競合がいたほうがビジネスはしやすい」と思うんです。すでに市場がありますから。市場を開拓するほうが大変ではないですか?

玉川:競合はどうカテゴリ分けするかにもよりますね。広義の競合なら、Wi-Fiサービスやインターネット接続サービスになります。しかしこれらをIoTに適用するとコスト面で課題があるのです。そこでIoTに特化したサービスを作ろうと考えました。直接の競合はいませんが市場はあること、IoTは今後伸びることには確信がありました。

武下:なるほど。

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加山 恵美(カヤマ エミ)

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