坪田朋氏が見据える、デザイナーや事業開発職の“プロジェクト型”の働き方とキャリア

第8回 BCG Digital Ventures 坪田朋 氏

 スキルを磨いてやりたい仕事に就きたい。ポジションや待遇もアップさせたい。そのために、自らでキャリアをデザインすることも大切ではありますが、全く違うアプローチで、自分の可能性を高めることができるのではないか。その問題意識のもと、「デザインしないキャリア」の有用性について、その実践者の言葉をもとに検証していきます。連載第八回は、ライブドア、DeNAを経て、BCG Digital VenturesにてExperience Design Directorを務める坪田 朋さんにお話を伺いました。

[公開日]

[語り手] 坪田 朋 [取材・構成] 佐藤 崇敏 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] プロジェクトマネジメント ワークスタイル キャリアデザイン キャリアドリフト 計画された偶発性

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坪田 朋さんプロフィール

BCG Digital Ventures Experience Designer
ライブドア、DeNAなどで新規事業のディレクション、UIデザイン、デザイン組織の立ち上げを実施。現在は、BCG Digital VenturesにてExperience Designerとしてデザイン領域を担当。

キャリアヒストリー

  • 2001年〜:受託開発会社でコーポレートサイトなどのデザイン制作を手掛ける。
  • 2007年:ライブドアに転職。ブログサービスを中心とした、数々の事業のプロジェクトマネジメントを手掛ける。
  • 2011年:DeNAに転職。mobageプラットフォームのUI/UXデザインや、新規事業立ち上げを手掛ける。
  • 2016年:BCG Digital Ventures に転職。デジタル領域の新規事業開発業務などを担う。

上司を説得するくらいなら、市場に出した方が早い。

――どのような学生時代を過ごし、社会人になりましたか?

 学生時代、将来はプロのバイクレーサーになれると真剣に思っていました(笑)。当時、TVCMや広告でパリ・ダカールラリーやモトクロスの映像が出てくることが多く憧れていたんですよね。モトクロスのチームにも所属して、その道で食べていこうとしたんですがプロにはなれなかったんです(笑)。そこで、CADのスキルを持っていたこともあり、当時の成長業界だったWebの道に進みました。

 最初は、受託開発会社でデザインスキルを叩き込まれて、モノづくりをしているうちに自分でウェブサービスを作ってみたくなり、事業会社のライブドアに入社しました。当時は、ライブドア事件の直後で、親に「なんでまたそんな会社に入るの??」と言われたのを覚えています。サービス開発に大事なことはライブドア時代に学ぶことができたので、当時、ライブドアを選んだのは本当に良かったと思っています。

 配属はlivedoor Blogのチームで、当時業界トップクラスの規模でしたが、PVを稼いでいた芸能人ブログの多くが他社に移転してしまい減少傾向にありました。リソースも限られる中、個人ブロガーにフォーカスしたサービス戦略を推進しました。ブロガーに向けたCMSの最適化や、個人の記事をポータルサイトのトップに取り上げたり、他のブログとリンクするRSSリーダーを掲載して同ジャンルブログの回遊を高めたりと、個人ブロガーと交流機会を設けてサービスを最適化していくことで、PVが一気に伸びたのです。ここで自分にとって大きかったのは、すべての施策が、ボトムアップで生み出されたものだったこと。

 ライブドアの特徴は開発チーム主導で物事が進み、上司を説得するための資料をつくらない会社でした。現場の力が強く、エンジニアやデザイナーがプロトタイプを作って見せて、チームの合意を得たらリリースされる文化でした。そして、ユーザーに支持されたかどうかをアクセス解析で判断する。会議も無いし、偉い人の意志決定も無い。「四の五の言う前に、つくれ!アウトプットがすべて!」というモノづくりのスタンスは、今でも自分の中心にある考え方です。

――ライブドアでの大きな学びがあった中、次のキャリアはどうしましたか?

 PCからスマートフォンに、デバイスの潮流が移行していく中、DeNAに転職しました。mobageのプラットフォーム開発や、新規サービスの企画・UIデザイン、CI(コーポレート・アイデンティティー)領域を担当しました。DeNAのデザインを強くすると決めて、DeNAのロゴリニューアルや「デザイン戦略室」組織を立ち上げました。

 正しいサービスをつくるためには、それが実現できる環境が必要という想いからです。具体的には、アウトプットドリブンの開発スタイル、ユーザー体験を重視したモノづくりに変えていくことを掲げました。当時は、運営サービス毎にデザイナーが配置されていました。確かに開発メンバーとの距離が近いメリットはあるのですが、縦割り型の組織だとアサイン、リソースの最適化ができず、横串組織としてのデザイン戦略室を作りました。メンバー数200名の大所帯でしたが、サービスに適したアサインの実施やナレッジ共有、社外のデザイナーとの交流や勉強会などを積極的に行うことで、急速にレベルアップできたと思っています。デザイナーイベントの立ち上げなど、社内外におけるDeNAデザイナーのプレゼンスも向上できました。

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