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濱口秀司氏、入山章栄氏、佐宗邦威氏らが登壇したBiz/Zine Day 2016ダイジェスト

Biz/Zine Day 2016 Autumn “デザイン”を軸に据えた「事業開発の条件」レポートVol.0

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パネルディスカッションで強調された「土壌を育てる」大切さ

 続いたのは、株式会社ゆめみで取締役を務める工藤元気氏。ゆめみは、製造メーカーや小売業者がスマートデバイスを活用した、アプリ/Webサービスに関するソリューションを提供する企業。2016年9月、製造業に特化した新サービス「Agile.O.I(アジャイル・オー・アイ)」をリリースしたこともあり、工藤氏は「事例から学ぶ、これからのプロトタイピング」と題した講演を行った。

 講演の最初に、工藤氏から「デザイン思考におけるプロトタイピングのあり方について、現場の事例を基に成功要素を抽出していく」と話されたように、UXデザイナー、UIデザイナー、エンジニアがいかに協調し、「各セクションのメンバーが他プロセスのインプットを行う」といった具体的なナレッジも紹介。仕様変更を余儀なくされる「手戻り」を防止し、なおかつスピーディにアプリやプロジェクトを開発していくべきかのノウハウをまとめた。

工藤元気工藤 元気 氏(株式会社ゆめみ 取締役)

 その後、今回のイベントでラストを飾ったのは、「オープンイノベーション 大企業発のイノベーションマネジメントをデザインする」と題するパネルディスカッションだ。イノベーションコンサルティングなどを専門に手がけるINDEE Japan代表取締役の津嶋辰郎氏をモデレーターに、パネリストにはベンチャーから大企業まで、さまざまな事業規模/バックボーンの現場でイノベーションプログラムに関係する人材が顔を揃えた。

 「なぜオープンイノベーションに注目が集まっているのか?」というテーマでは、東京急行電鉄株式会社で「東急アクセラレートプログラム」運営統括を担う加藤由将氏が「(これまで企業や人材は)オペレーションの機能を高めてきたが、その逆にあるクリエティビティを育ててこなかった。そのため『いきなり新規事業を考えろと言われてもできない』状況になっており、自社単体ではなく外部と関わるオープンイノベーションに踏み出しているのだろう」と推論。自身も東京急行電鉄でその領域に携わるだけあり、実情を踏まえた言葉たちが伝えられた。

タイトル左:加藤 由将 氏(東京急行電鉄株式会社 「東急アクセラレートプログラム」運営統括)
右:栗島 祐介 氏(株式会社Vilingベンチャーパートーナーズ 代表取締役社長)

 モデレーターの津嶋氏と同じくINDEE Japan代表取締役を務める津田真吾氏は、「オープンイノベーションは以前から行われており、(本質的には)新しいことではない」と指摘した上で「自社にあるタネに企業が付き合える体勢がないところが多い。異端なものをいかに受け入れるかがイノベーションの本質だと思う」と失敗例からの学びを共有。これに加え、トヨタ自動車やパナソニックなど大手企業約30社の若手社員を集めた「One JAPAN」で代表を務める濱松誠氏は、自身の体験から「異端を寛容に受け入れられる土壌をいかに作るか」の大切さを述べた。新規事業開発やオープンイノベーションを推進する土壌をつくるためには「人事や総務担当をこういった(イベントの)場に連れてくるのも実は重要なこと。ベンチャーでも大企業でも対話が大事」。

タイトル左:津田 真吾 氏(INDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター)
右:濱松 誠 氏(有志の会One Panasonic発起人・代表、One JAPAN共同発起人・代表)

 一方で、アジアやヨーロッパで教育領域特化型のシード投資/インキュベーションを手がけるVilingベンチャーパートーナーズ代表取締役社長の栗島祐介氏は、「大企業にある実例」として、オープンイノベーションの難しさを取り上げた。「越権行為がイノベーションにつながるという話もあったが、企業でそれができる人ほど起業家になっていく。(越権行為の)壁にぶつかった結果、会社の外に出ていく印象。フロントエンドがイノベーティブな人材になっても壁にぶつかり、人材が流出してしまう。それがオープンイノベーションの恐ろしさでもあると思う。やはりバックエンドを整えなければ」とエールを贈る。

 70分にわたるパネルディスカッションは終始、それぞれが得意領域を持つだけあって、よどみなく議論が交わされていった。およそ5時間近くにわたって講演が行われたBiz/Zine Day 2016だったが、参加者はその後のネットワーキングパーティー(懇親会)でも交流する時間を持つなど精力的な姿が見られた。今回のイベントを機に、「デザイン×ビジネス」におけるイノベーションが今後も広まっていくことを期待したい。

■関連記事1(東急 加藤氏):イントレプレナーズ・リアル
■関連記事2(株式会社Vilingベンチャーパートーナーズ 栗島氏):Make Crazyなコミュニティ論
■関連記事3(One JAPAN 濱松氏):大企業の若手有志による新団体「One JAPAN」が設立 イノベーションは生まれるか?
■関連記事4(INDEE Japan 津嶋氏・津田氏):ニッポンの経営企画・事業企画

■Biz/ZineDay2016の全講演録はこちらから。

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この記事の著者

長谷川 賢人(ハセガワ ケント)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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