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入山章栄氏が語る、世界標準の経営学と符合する「イノベーション人材」に共通する3つの視点

Biz/Zine Day 2016 Autumn “デザイン”を軸に据えた「事業開発の条件」レポートvol.2

 Biz/Zine の連載の中でも人気の高い「Design×Management=Innovation」。入山章栄氏、佐宗邦威氏が、ゲストを囲んでイノベーションとクリエイティビティに対する多彩な意見を交換し、様々な気づきや示唆を得てきた。そこで、Biz/Zine初のイベント「Biz/Zine Day2016」に入山章栄氏、佐宗邦威氏が登壇し、「デザイン」を軸に企業経営とビジネスについて語った。前編では両氏がそれぞれ連載で得た所感や知見などについて語った内容を紹介する。本レポートでは、入山氏の講演内容をお届けする。

[公開日]

[講演者] 入山 章栄 [取材・構成] 伊藤 真美 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 事業開発 企業戦略 知の探索 知の深化 両利きの経営 コンピテンシートラップ

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「知の探索」と「知の深化」をバランスよく行う、「両利きの経営」が新たなイノベーションを生み出す

 毎回大きな反響を呼んでいる「Design×Management=Innovation」だが、その始まりは、まさに“ひょうたんからコマ”だったようだ。入山氏が米国のビジネススクールで助教授を務めていた頃に佐宗氏から突然連絡を受けた後、米国の入山氏の自宅に佐宗氏が訪問したことから始まる。日本に帰国後、編集担当者からBiz/Zineの連載を依頼された際に「佐宗さんと一緒なら」という条件で始めたのだという。そして、「イノベーションとクリエイティビティについての知の体系化」を目標に掲げ、毎回二人が気になるゲストを招いての鼎談という形式を取るようになった。

 これまで登場したゲストは、ポジティブ心理学の第一人者であるミハイ・チクセントミハイ氏、日立製作所でウェアラブル技術やビッグデータ活用に取り組む矢野和男氏、世界的なデザインコンサルティング会社「IDEO」トム・ケリー氏、Yahoo!CSO安宅和人氏、メタップス佐藤航洋氏、曹洞宗の僧侶・藤田一照氏など錚々たる顔ぶれだ。入山氏は「今、最も“ぶっ飛んだ”対談だと自負している」と語り、「鼎談を通じて『イノベーション』『創造性』『デザイン』を語れるトップランナーには、明確な共通項があることを実感した。それは世界標準の経営学視点と符合する」と評した。

両利きの経営

 それでは、世界標準の経営学と符合する視点とはどのようなものか。入山氏は第一の視点について「イノベーションの本質が、知と知の組み合わせであること」と語る。

 人間は何もないところから何かを生み出すことはできない。アイデアが生まれる時、必ず自分の頭の中から情報を得て役立てているはずというわけだ。この考え方は殊更新しいものではなく、80年も前からシュンペータが語る、知と知の組み合わせを意味する「new combinations=新結合」は、今もなおイノベーション研究では最も基本的な考え方となっている。

 イノベーションを生み出す上で「知と知の組み合わせ」が重要と知りながらも、そこには人間の認知という限界がある。つまり、人は自分の知りうることのみを組み合わせ、結果として「知の近視眼化」に陥ってしまうというわけだ。これを回避するためには、自身から最も遠いところにある新たな知を探索し、自身の知と組み合わせてみることだ。それを経営学では「Exploration(知の探索)」と呼び、イノベーションの第一歩として重視している。

 入山氏は例として、トヨタ生産システムが米国のスーパーマーケットのレジ精算にヒントを得て誕生したことを紹介。また、ツタヤも消費者金融の仕組みを見てレンタルビデオのビジネスを考え出し、一業界にまで成長した。

 つまり、イノベーションには自身の知にまったく遠い知を探して結びつける「Exploration(知の探索)」が不可欠であり、さらに「新しいアイデア」をブラッシュアップし、実現していく「Exploitation(知の深化)」が必要というわけだ。この「知の探索」と「知の深化」を、あたかも両利きのようにバランスよく行える企業、経営者こそ、イノベーションの起点となる確率が高い。

 しかし、人はどうしても探索に躊躇しがちだ。それは認知的な問題だけでなく、企業という短期間で収益を上げることを命題とされる組織において、確率の低い「知の探索」を行うより、手短なところで「知の深化」をするほうが効果的と信じられていることにある。入山氏は「短期的にはよいかもしれないが、中長期的にはコンピテンシー・トラップに陥り、イノベーションが枯渇してしまう恐れがある」と指摘する。

 事実、「Design×Management=Innovation」に登場した全員が共通して「知の探索」に長けている。いずれも自身のドメインを限定せず、貪欲に様々な好奇心を羽ばたかせて知を探索し、それを自分たちの知と結びつけ、新たな発見を次々と行っている。

【編集部より】この続きは、以下から講演録としてダウンロード頂けます。

 

【注目資料】Biz/Zine Day 2016 Autumn 全講演録

Biz/Zine Day濱口秀司氏、入山章栄氏、佐宗邦威氏などが登壇し、デザインを軸とした経営が語られた全内容をPDF小冊子に収録。
【収録内容】
講演録2:「世界の経営学からみたデザイン経営への視座」
スピーカー:入山章栄(早稲田大学ビジネススクール准教授)





・タイトル:入山章栄氏が語る、世界標準の経営学と符合する「イノベーション人材」に共通する3つの視点とは?
・見出し1:「知の探索」と「知の深化」をバランスよく行う、「両利きの経営」が新たなイノベーションを生み出す
・見出し2:楽々と境界を越える「バウンダリー・スパナー」であること、矛盾したバランスを保ちつつ「ビジョナリー」であること
見出し3:連載「Design×Management=Innovation」で今後、解明したいこと

講演録1:「デザインが企業経営に与えるインパクト」
スピーカー:濱口秀司(monogoto CEO, Ziba Executive Fellow)
講演録3:「ビジネスとデザインの交差点 その先に見えているもの」
スピーカー:佐宗邦威(biotope CEO / Founder / Chief Innovation Producer)
講演録4:「連載 Design×Managementの二人が語る、 多彩な分野の第一人者から得た“クリエイティビティとイノベーション”」
スピーカー:入山章栄(早稲田大学ビジネススクール准教授)
スピーカー:佐宗邦威(biotope CEO / Founder / Chief Innovation Producer)
講演録5:「事例から学ぶ、これからのプロトタイピング」
スピーカー:工藤元気(株式会社ゆめみ)
講演録6:「オープンイノベーション 大企業発のイノベーションマネジメントをデザインする」
モデレーター:津嶋辰郎(INDEE Japan)
パネリスト:津田真吾(INDEE Japan)、濱松誠(One JAPAN)、加藤由将(東京急行電鉄株式会社)、栗島祐介(株式会社Vilingベンチャーパートーナーズ)

◎ダウンロード資料:
『Biz/Zine Day 2016 Autumn “デザイン”を軸に据えた「事業開発の条件」講演録』
(仕様 : A4、25頁)

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