クリステンセン教授の「ジョブ理論」に影響を与えたODI(アウトカム・ドリブン・イノベーション)

ブックレビュー:“Jobs to be Done: Theory to Practice ”

[公開日]

[著] 津田 真吾

[タグ] 事業開発 企業戦略 job to be done ジョブ理論 顧客のジョブ 顧客体験 アンメットニーズ ODI

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イノベーションプロセスは「シーズ起点」では再現が難しく、「ニーズ起点」では実行が難しい

ステージゲートの本質的な問題点

 イノベーションや新商品開発プロセスは大きく分けると2つのカテゴリーに分けることができる。1つは、「シーズ起点」のもの、もう1つは「ニーズ起点」のものだ。「シーズ起点」のプロセスにはさまざまあるが、多くのアイデアをブレーンストーミングし、いくつかのステージゲートで絞り込み、その過程で検証実験をすることで成功に導くという共通したパターンを持つ。しかし、このプロセスには再現性を阻む本質的な欠点が3つあると言われている。

  • 顧客が解決を望む「ニーズ」に応えるアイデアを偶然出す確率は極端に低い
    まぐれに頼るなら1400万件のアイデアを出す必要がある計算だという
  • ステージゲートの評価・絞り込みに欠陥がある
    ステージゲートの評価メンバーもニーズを把握していないうえ、ニーズがあったとしても、他社シーズを用いたアイデアを無視・軽視してしまう
  • 顧客はニーズを言語化できない
    作ってから顧客に尋ねるプロセスでは、本来作り手がやるべきコミュニケーションを顧客に委ねることになる

ニーズ起点プロセスは実行が困難

 シーズ起点プロセスを実行してみると、上記の理由で失敗する。その失敗を経験すると多くの企業はニーズ起点のプロセスを試すことになる。ニーズ起点のプロセスでは確率が上がるものの、エクセキューション(実行品質)に課題が残る。その実行品質が低い理由は、起点とすべき「ニーズ」の定義・文法・構造が明確ではないためだと指摘する。

 何を探そうとしているのかを明確にしなくては、見つけるべきニーズは見つからないし、漏れなく探せているかという実行品質も低くなってしまう。「ニーズとは何か」が説明できないのにもかかわらず、ニーズ調べに走ってしまう状況は洋の東西を問わないようである。

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