「社員の声」で会社を元気にする組織診断ツール「wevox」

人材不足が深刻化する一方で、企業と個人の働き方、生産性の向上が問われている。企業にとっては「組織・人材マネジメント」は重要な課題だ。 こうした中、従来行なわれてきた人事管理のための調査や測定の世界にも大きな変化が起きている。トップダウンの従業員満足度調査ではなく、ボトムアップで社員のエンゲーシメントを測り、継続的な改善を行なっていくアプローチだ。シリコンバレーの人材獲得競争から生まれた、HRテックの新しい波ともいえる手法でサービスを開始した(株)アトラエの wevoxプロジェクトリーダー、森山雄貴氏に話を聞いた。

[公開日]

[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部)

[タグ] HRテック 人材管理

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採用だけでは組織は生き返らない

株式会社アトラエは、成功報酬型求人メディアの「Green」、審査型のビジネスマッチングアプリ「yenta」などを手がけている「人」に関わるメディアとサービスを提供するベンチャー企業。「人と組織を元気にする」というのが、同社の人材領域のサービスのコンセプトだ。
求人メディア「Green」からスタートしたが、採用だけでは組織の課題に答えられないことに早くから気づいていたという。
そして、このたび新たに立ちあげたのが、組織診断サービスの「wevox」だ。wevoxプロジェクトリーダーの森山氏はこう語る。

「人と組織を元気にするというコンセプトのもと、求人メディアを通じて採用のお手伝いをしてきました。しかし採用に力をいれながらも、定着に気を払わない会社が多いことに気づきました。組織の体質そのものに問題がある時は、採用だけでは会社は成長しません。いわば穴の空いたバケツに水をいれるようなもので、流出してしまうのです。まずは穴をふさぐことを考えるべき。組織診断はその為に必要なのです。」

(株)アトラエ wevoxプロジェクトリーダー 森山雄貴氏

アトラエは2016年にマザース市場に上場した。組織診断のビジネスの構想は以前からあたためられてきたものだ。上場約1年後の2017年5月に正式リリースされ、株式市場からは好感を持って受け入れられたようだ。クラウドベースの SaaSによる組織診断であるこのサービスは、従来の企業向けの人事ビジネス市場に大きなインパクトを与えている。

人事向けのソリューションとしては、HCM(Human Capital Management)と言われる人材管理ツールや組織診断のツールを提供する会社や人材コンサルティングを行う会社があり、いずれも長年の実績を持っている。しかし、これまでの伝統的なツールや調査手法は、専門性が高く高額なものだ。wevoxはこの牙城を切り崩すチャレンジビジネスであり、従来の大手の高付加価値ビジネスに対して、従量課金型のクラウド型で参入していくというものとなる。テクノロジーで人材領域のビジネスを行う「HRテック」の潮流のひとつといえるだろう。
wevoxというネーミングは「わたしたちの声」という意味合いが込められている。このサービスの目的は、「社員の声」を継続的にサーベイしていくことで、組織を改善していくことだ。

これまでの調査は1年あるいは数年に一度大量の質問の記載されたものを配布し調査と分析に時間をかけるものだった。これに対して、wevoxは、数ヶ月あるいは数週間というスパンで質問をメールで送りスマホやPCで回答し、リアルタイムに状況を診断しグラフやチャートで可視化する。そうすることで長期に一度の機構改革ではなく、常に継続的な組織改善が可能になる。

「年に一回の人間ドックのようなサーベイではなく、パルスサーベイという手法を用いて恒常的に組織の健康状態を測ります。」(森山氏)

米国シリコンバレーでは「ウォー・フォー・タレント」と呼ばれるほど人材獲得競争が盛んで、他社からの引き抜きを防止することも重要となる。パルスサーベイはそうした厳しい人材競争から生まれた手法だ。

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