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i.lab流イノベーションマネジメント

多様性のあるチームの鍵を握る「夢を語る人」と「そろばんを弾く人」、リーダーの「方向感」

【特別鼎談】ルノー日産 三好健宏氏 × i.lab 横田幸信氏 × 寺田知彦氏 後編

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未来のチームプロジェクトのデファクトスタンダードとは?

横田(i.lab Managing Director):
 三好さんはエンジニアとして入社されて、自動車の世界にどっぷりと浸かりながらも、社内でデザイン部門などの異なる価値観に触れ、社外では「車なんて」という人に刺激を受けてこられました。そうした様々なご経験がご自身の中で融合して、イノベーションに対する感度が高まっているように思われます。また、チームでお仕事をされる時にも、そうした異なる価値観や得意分野の融合があったのではないでしょうか。

三好(ルノー日産アライアンス コネクティドカー&モビリティサービス事業部 主担):
 確かにエンジニアからデザイン部門に異動になった時は、かなり戸惑いがありましたね。当然これまでの文脈が通じないし、エンジニアとしての価値を感じてもらえない。それでも相手は自分が持っていないものを持っていて、それがとても魅力的だったんです。なので、デザイナーによる、直感的で一見根拠はなく粗いけど素晴らしく面白いアイディアを、私がロジカルに分析して細かく現実に落とし込み、上層部を説得していくという分業を意識して行いました。それは比較的上手くいったと思います。

 さらに日産に入社して、2016年6月に創設された、ルノーと日産のアライアンスによる「コネクティドカー&モビリティサービス事業部」というチームのメンバーになり、モビリティ戦略&パートナーシップ部の主担となりました。通常の開発部門とは離れた形で創設され、金融やゲーム、IT、アパレル業界など本当に様々な経験がある人ばかり。その専門性の高さや多様性をみると、様々な価値観や知識の融合から何か新しいものが生まれて来るのではないかという期待が高まります。

横田:
 まるで未来のチームプロジェクトのデファクトスタンダードを示唆しているようですよね。従来型の組織では同じ専門性の人が集まって上下のヒエラルキーの中で仕事をしていたのが、たとえ年齢は下でも専門性が異なれば頼る立場になる。そんなフラットな組織が今後は普通になるのかもしれません。そうした組織では、各専門性では対等ながらマネジメントを担うリーダーという人も出てくるでしょう。実際に、三好さんはそのリーダーを担われているわけですが、チームでのマネジメントやコミュニケーションについて、どんなことを意識されていますか。

三好:
 多様な価値観を持つ人に「同じ方向」を向いてもらうことでしょうか。方向性をできるだけシンプルに「キャッチコピー」くらいにまで落とし込んで、わかりやすく共有することが大切ですね。たとえば、東京モーターショー2015に出展した「Honda WANDER STAND CONCEPT」は「自動運転で散歩しよう」をコンセプトとして共有していましたし、今年6月にはルノー日産アライアンスがフランスのスタートアップ企業やパリ市、銀行などと提携して「CityMaker」を掲げ、アーバンモビリティソリューションを開発することを宣言しました。ちょっと抽象的かもしれませんが、活動の方向性を示すコンセプトがそのままプロジェクトチーム名になっていますよね。

 こうしたコアとなる言葉から自由に発想して、でも決してブレない。さらにそのコンセプトを社内外にもオーソライズしアピールするのも、重要なリーダーの仕事です。

三好 健宏三好 健宏 氏(ルノー・日産 アライアンス コネクティドカー&モビリティサービス事業部 主担)
東京大学生産技術研究所 修士課程修了(マテリアル工学科専攻)。本田技術研究所に入社後、車体の軽量化やF1電動パワートレインの高出力化など限界突破型シーズ研究の追求と、ダーウィンの海による淘汰を幾多経験しイノベーションプロセスに興味を持つ。その後デザイン室へ異動、"人間中心イノベーション"に取り組み、完全自動運転のコンセプトカーを東京モーターショーにて提案。現在はRENAULT-NISSAN ALLIANCEにて"自動運転のその先を創造する"をミッションとし、新たなモビリティサービスの社会実装を目指し活動中。

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