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次世代テクノロジーが既存事業を壊す時代の“攻めと守り”の指南書『ゾーンマネジメント』

ジェフリー・ムーア 著『ゾーンマネジメント:破壊的変化の中で生き残る策と手順』

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新規事業開発における経営企画・財務部門の “未来の価値”を考えるきっかけになるのでは?

 今回ご紹介するのは、書籍『ゾーンマネジメント 破壊的変化の中で行く残る策と手順』(ジェフリー・ムーア[著] / 栗原 潔[翻訳] / 日経BP[刊])です。

 著者のジェフリー・ムーアは、破壊的テクノロジーがビジネスと組織運営に与える影響と企業がとるべき戦略をテーマに、著述と講演を続け、スタートアップと大企業の双方に助言をしています。Biz/Zine読者には『キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論』(翔泳社)の著者と説明したほうが、イメージしやすいかもしれません。

キャズムジェフリー・ムーア『キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論』(翔泳社)

 『キャズム』でムーアが提唱した「キャズム理論」は、エベレット・M・ロジャーズが提唱したイノベーター理論(消費者を「イノベーター[革新者]、アーリーアダプター[初期採用者]、アーリーマジョリティ[前期追随者]、レイトマジョリティ[後期追随者]、ラガード[遅滞者]の5つのグループに分類)をベースに理論化されました。

エベレット・ロジャーズ『イノベーションの普及』(翔泳社)エベレット・ロジャーズ『イノベーションの普及』(翔泳社)

 ハイテク業界が新技術を世の中に浸透させる際の「市場の2つの層」と、簡単には超えられない深い溝(Chasm:キャズム)として、ロジャースとは異なり、2つの市場のうち初期市場では、消費者を「イノベーター」と「アーリーアダプター」に分類し、メインストリーム市場ではアーリーマジョリティやレイトマジョリティに分類しました。

 そんなムーアの最新邦訳書を読んだあとに感じる主要テーマは、「次世代テクノロジーにより破壊される既存ビジネスを持つ大手企業が、どのような事業ポートフォリオを持ち、それぞれのポートフォリオを、どのような戦略を、どのような組織において実行するのか」、ということ。

 Biz/Zine読者が多く所属する、新規事業部門、経営企画部門、研究開発部門を管理する責任者、担当者、経営層にとって非常に多くの示唆を与える内容になっています。

 特に「イノベーション議論」において “悪者扱い”されがちな、経営企画部門や財務部門の方に読んでいただきたい内容です。中期経営計画やガチガチな新規事業計画が、イノベーションを阻害するというクリステンセン教授の言及*1などがこの論調に拍車をかけていますが、経営企画・財務部門の方が本書を読み、実行に移せば、新規事業担当者と経営企画部門や財務部門に、健全な関係性が生まれるのではないか、と期待させる内容です。

 では、本書の内容の中核となる部分のみ、次項以降でみていきましょう。

 

*1:Biz/Zine記事:「クリステンセン教授が語った、破壊的イノベーションが「起きない理由」と“Job To Be Done”

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なぜ「イノベーション議論」は常に“噛み合わない”のか?

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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