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CVCの基礎と成功戦略

CVCの投資領域は「破壊的イノベーション」──事業会社に必要な目的別の投資戦略とは?

第3回

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 前回は、CVCの本質は事業の目利き力と事業成長ノウハウにあることと、その本質を踏まえたコンセプト作りについて考えてみました。今回は、コンセプトを踏まえ、CVCで具体的にどのような投資戦略を考え、どのような投資手法をとっていくのかを掘り下げていきたいと思います。

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CVCの投資領域は「破壊的イノベーション」

 事業会社から投資することを考える場合、その手法はCVCに限定されるわけではなく、M&Aや資本業務提携などの選択肢があります。その中で、あえてCVCから投資をすることが、最良の選択となる時の投資戦略・手法はどのようなものなのでしょうか。

 結論からいうと、CVCの投資は、投資戦略全体の中で「破壊的イノベーション対応」を受け持ち、「シナジーよりキャピタルゲイン(≒事業成長性)を重視」した投資判断を行い、「独立した意思決定権」を持ち、「複数投資によるポートフォリオ構築が可能な規模」で運営するという戦略・手法が最適だと考えています。これからその理由について述べていきます。

 はじめに投資の目的から考えていきます。ここでは「イノベーションのジレンマ」という理論を使って整理をしたいと思います。Clayton M. Christensenが提唱したイノベーションのジレンマでは、既存事業は、その事業の延長線上にあるイノベーション(持続的イノベーション)を生むことができても、既存事業自体を破壊するような革新的なイノベーション(破壊的イノベーション)は、自己否定につながるため生むことが難しく、その結果、他社が破壊的イノベーションを生み出し、既存事業が破壊されてしまいます。

 わかりやすい事例として音楽流通がありますが、音楽流通はレコード、CD、DVDという媒体を中心に発展してきましたが、現在では、iTunesのような配信ビジネスに市場の多くを奪われてしまいました。この事例では、レコード、CD、DVDという発展は持続的イノベーションであり、iTunesのような音楽配信は破壊的イノベーションにあたります。そして、音楽配信のような破壊的イノベーションは既存の音楽事業者から生まれるのではなく、Appleのような全く違う分野の事業者から生まれています。

 これを踏まえると、事業会社は持続的イノベーションに取り組むのはもちろんのこと、破壊的イノベーションにも対応していく必要があり、それぞれのイノベーションに適した投資戦略を考えていく必要があります。

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この記事の著者

戸祭 陽介(トマツリ ヨウスケ)

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