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NTTデータ経営研究所、紙の手帳の脳科学的効用に関して共同実験にて解明した内容を発表

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 NTTデータ経営研究所は、東京大学大学院総合文化研究科の酒井研究室と日本能率協会マネジメントセンターと共同で、行動実験とfMRI(機能的磁気共鳴画像法)実験を実施。スケジュールなどを書き留める際に使用するメディア(紙の手帳や、スマートフォンなどの電子機器)によって、記銘(記憶の定着)に要する時間が異なり、想起(記憶の再生)において成績や脳活動に差が生じことを初めて明らかにした。

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 日本能率協会マネジメントセンターとNTTデータ経営研究所をはじめとする企業が、デジタルとアナログの双方のユニークな価値を見極め、それぞれの良さを享受することでより豊かな生活を人々に送ってもらうことを目的として、2015年に応用脳科学コンソーシアム内に「アナログ価値研究会」を組成し、東京大学大学院総合文化研究科の酒井研究室をはじめとする学術機関と共同で、これまでもアナログの価値を実証し、その成果を発信してきた。

 多くの人々は日常生活において、紙の本や雑誌に加え、スマートフォン・タブレット・パソコンといった電子機器を用いているが、それが日々の学習などに及ぼす影響については、これまで十分な検証がなされてこなかった。例えば知識を問う試験の場合、その学習成績は記銘したことがいかに正確に想起できるかに左右されるが、記銘のときに使うメディアが記憶の想起に対してどのように影響するかは、これまで脳科学的に解明されていなっかたのだという。

実験概要

 今回の実験では、参加者を手帳群・タブレット群・スマホ群という3群に分け、これら3つのメディアを使って具体的なスケジュールを書き留める課題を実施。手帳とタブレットでは見開きの大きさを等しくし、またどちらもペンを用いて手書きを行う。その後、そのスケジュールの内容について想起して解答する課題をMRI装置内で実施した。その結果、手帳群では他の群よりも短時間で記銘を終えており、それでも記銘した内容に関する想起課題の正答率(全問の平均)には3群で差が見られなかったことから、手帳群は短時間で要領よく記銘できていたことが分かった。また、一定の直接的な設問についての成績では、手帳群の方がタブレット群よりも高いという結果が示された。

 この想起課題を行っているときの脳活動をfMRIで測定したところ、言語処理に関連した前頭葉や、記憶処理に関係する海馬に加えて、視覚を司る領域でも活動上昇が観察された。このことから、言語化・記憶の想起・視覚的イメージといった脳メカニズムが関与すると言えるとしている。さらにこれらの領域の脳活動は、手帳群が他の群よりも高くなることが定量的に確かめられた。このことは、記銘時に紙の手帳を使うことで、電子機器を用いた場合よりも一層豊富で深い記憶情報を取得できることを示唆している。

社会的意義・今後の予定

 紙の教科書やノートを使って学習する際には、そこに書かれた言葉の情報だけでなく、紙上の場所や書き込みとの位置関係といった視覚情報などを、同時に関連付けて記憶する連合学習が生じている。一方、スマホ・タブレット・パソコンといった電子機器では、画面と文字情報の位置関係が一定ではなく、各ページの手掛かりが乏しいために、空間的な情報を関連付けて記憶することが困難なのだという。このように紙媒体は想起の際の手掛かりが豊富であるため、記憶の定着に有利であることに加え、その高い記憶力を元にした新しい思考や創造的な発想に対しても、役立つのだとしている。

 今回の研究結果を踏まえると、日常生活において、紙の製品と電子機器を目的に応じて使い分けることによって、より効果的な利用につながることが期待される。特に教育やビジネスなどにおいて、経費削減・効率化を重視して使用メディアのデジタル化が進んでいますが、脳科学の根拠にもとづいて創造性などを発揮させるために、あえて紙のノートや手帳などを用いることで、本来求めるべき成果を最大化させることができると述べている。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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