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IDEOトム・ケリー氏「クリエイティブになるためには、時差ボケも味方につけよう」

特別鼎談:IDEOトム・ケリー氏 × 入山章栄氏 × 佐宗邦威 氏 中編

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 入山章栄氏と佐宗邦威氏がイノベーションとクリエイティビティを包括的にとらえようとする本連載。今回は、「世界で最もイノベーティブな会社」に選ばれたグローバルなデザインコンサルティング会社「IDEO」の共同経営者であり、ベストセラー『発想する会社!』『イノベーションの達人!』『クリエイティブ・マインドセット』の著者としても知られるトム・ケリー氏だ。中編では、クリエイティブであるための日常的な習慣やイノベーションのカギを握るゲートキーパーの影響などについて、きわめて興味深い知見を披露してくれた。

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クリエイティブでありたいなら、行動し、アイデアを記録せよ

佐宗(株式会社biotope 代表取締役/イノベーションプロデューサー):
 近年、私が感じているのは、日本企業のマネジメント層の方々の中には、クリエイティブな素養を持っている方も多いということです。しかし、実際のマネジメント業務のほとんどは、創造というよりも、組織内外の課題の対応に追われるのが現実です。彼らが持つ創造性を意思決定の場面でいかに発揮するかというのが、日本企業の課題だと考えています。ケリーさんは、どうしたら良いと思われますか?

トム・ケリー(IDEO 共同経営者、以下、ケリー):
 まずは、彼ら自身が「クリエイティブでありたい」と思うことが重要でしょう。日本に限らず、「周囲にクリエイティブであることを求められていないから」と、クリエイティブになることを放棄してしまう人もいますが、それは非常にもったいないことです。

 そして次に、浮かんでくるアイデアをシステマティックに保存する方法を考える必要があります。例えば、シャワーを浴びている時に良いアイデアを思い付くという人は多いと思いますが、そのアイデアを書き留めておかなければ消えてしまいますよね。

 さらに、良いアイデアを思い付くのはどのような時なのかも、自らが知っておく必要があります。朝起きてすぐなのか、散歩している時なのか、シャワーを浴びている時なのか。それが分かったら、その時間を意図的に確保するのです。日本のビジネスマンにとっては、この「時間の確保」が一番難しい問題かもしれませんね。

マネジメント層が創造性を発揮するために必要なこと図1. マネジメント層が創造性を発揮するために必要なこと
©Junko Shimizu

佐宗:
 実際に経営層の方々のスケジュール帳を見ると、ランチを食べる暇もない。空白の時間なんてないというのが現状なんですよね…。

ケリー:
 そうですね。でも、どんなに忙しくても、アイデアが浮かぶプライベートな時間を確保することは不可能ではありません。そんなに長い時間は要らないのです。そして繰り返しますが、良いアイデアを思い付いたら、必ず書き留めておくべきです。脳は非常に効率良く記憶を消し去ってしまうものなのです。

 たとえば、高級レストランの優秀なウェイターは、1つのテーブルに6人座っていても、注文をメモせずとも全て覚えますよね。そして、その注文を厨房に伝えるとすぐに「忘れて」、次のテーブルに注文を取りに行きます。その繰り返しです。厨房に伝えた後に忘れるのは、さもないと次の注文を覚えられないからです。我々の脳の短期記憶力は僅か30秒~60秒と言われているので、良いアイデアが浮かんだら確実に保存しておかなければならないのです。

入山(早稲田大学ビジネススクール准教授):
 なるほど。確かに、いいアイデアを思いついたはずなのに、すぐに忘れてしまうという経験はよくありますよね。ケリーさん自身はどのように時間を確保しているのですか?

ケリー:
 私自身はかなり日常生活でシステマティックに行っています。例えば私の兄も、シャワーを浴びている時に最高のアイデアが浮かぶと言って、シャワールームにホワイトボードマーカーを常備していますよ。ガラスの壁があるので、そこにアイデアを書き留めるのです。非常に実用的でしょう。

入山:
 実用的だし、ユニークですね。

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