高島市長が語るスタートアップ都市福岡の戦略

福岡市長 高島宗一郎 氏インタビュー

[公開日]

[取材・構成] BizZine編集部

[タグ] スタートアップ ベンチャー 社会・公共

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なぜスタートアップ都市・福岡なのか

「熱意ある地方創生ベンチャー連合」旗揚げの発表記者会見 『#FUKUOKA』(http://hash.city.fukuoka.lg.jp/) より

 なぜ福岡市はスタートアップ支援に力を入れているのか。理由は三つあります。

 一つめは、とても暮らしやすい福岡市の環境と、経済・ビジネスを結びつける鍵がスタートアップだということです。アメリカのシアトルは海や山に囲まれ、自然が豊かで、非常に住みやすい街として評価されていて、優秀な大学があり、起業支援にも熱心です。このシアトルからはマイクロソフトやアマゾン、スターバックス、コストコなどグローバルに活躍する企業が生まれています。その理由はシアトルの持つ街の緩急、つまりダイナミックな街の活力と同時に、住みやすく、リフレッシュできる環境が、クリエイティブな発想、イノベーティブなアイデアにいい影響を与えているからです。シアトルに酷似した暮らしやすい環境があって、都市機能が充実して、産学官の垣根が低い福岡市であれば、シアトルと同じように世界で活躍するベンチャー企業を生み出すことができるはずだ。2011年、シアトルを訪問した時に、そう閃いたのがスタートアップ支援に注力するようになったきっかけです。

 二つめは、新しい企業には雇用を生み出す力があることです。中小企業白書によると、全事業所数の8.5%に過ぎない創業3年以内の企業が、新規雇用全体の37.6%を生み出しています。また、別のデータでは、平均すると創業から10年までの企業が雇用をプラスにし、逆に10年以上の企業は雇用を減らしています。つまり、新しい企業が生まれない限り、新しい雇用は生まれないんですよ。ですからスタートアップを盛んにして、雇用を創り出したいということです。

 そして三つめが、明るい未来を実現させる力がスタートアップにはあるということです。私が小さかった頃の日本は、書籍『ジャパン・アズ・ナンバーワン』に代表されるように、メイド・イン・ジャパンが世界を席巻し、輝いていました。ところがバブルの崩壊以降、経済に明るい話題がなくて、出てくるのは少子高齢、国の借金、そんな話ばっかりです。私自身も、アナウンサー時代は給与が上がったことはありませんでした(笑)。少子高齢化が進んで、支える側と支えられる側のバランスが崩れて、国も地方も財政が厳しくなっていく。将来はそんな悲観的な想定がされています。明日が今日よりも悪くなると思えば、子どもを産んで、育てることにも積極的になれないし、住宅ローンも組めないし、いろんなものを躊躇することで経済が縮小してしまうわけですよね。

 どうすればそうした閉塞感を打破できるのか。これから少子高齢化によってマイナス成長しかないという想定をどうすれば変えることができるのか。変えるためには、その想定をした時には無かった新しい価値や新しい商品、新しいサービスを生み出す、昨日無かった明日を創り出すことでしか、その想定を変えることはできないのです。その昨日無かった新しい価値を生み出す力を持つのがスタートアップです。ベンチャーが持つ新しいアイデアや、生み出すイノベーションこそが暗い未来を明るい未来に変えていく力を持っています。 「いったい、いつになったら自分たちが主役の時代がくるんだ?」そう考えたこともありましたが、今の状況を時代のせいにしても仕方がないんです。スタートアップ支援によって、我われ世代が主役の時代を自分が先頭に立って勝ち取っていきたいと思っています。

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