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イノベーションへの3つの壁と「デザイン思考」

第6回

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「認識の壁」を壊すために重要な「多様性の確保」

 認識の壁を壊すために重要なのは、「多様性の確保」だ。多様性とイノベーションの関係について、重要な研究がある。1万7千件の特許を調査した結果、多様性が高い集団でなければ画期的なイノベーションは起こせないことが明らかになった。

イノベーションと多様性の関係図1 イノベーションと多様性の関係
(参照:Fleming, 2004)

 図の縦軸は、「その特許に金銭的な価値があったかどうか」を表し、横軸は「メンバーの多様性」を表している。なお、ここでの多様性は、専門領域の違いを意味する。たとえばチームに3人が所属しているとする。全員が計量経済学の専門家であるとしたら、チームの多様性は低いといえる。一方で、計量経済学の専門家に加え、心理学者や文化人類学者もいるチームであれば、多様性が高いといえる。

 メンバーの多様性が低いと、大失敗もしないが大成功もしない。いわゆる「普通」の成果で終わってしまう。多様性が高まると、失敗の総数自体は増加する。平均値だけをとれば、成功確率は下がることになる。しかし、その一方で、「価値あるイノベーション」がいくつか誕生している(図1)。

 多様性が高いということは、さまざまな角度から変化を解釈できる「視点」が増えることを意味する。経済学者が見落とす視点を、文化人類学者は的確に捉えられるかもしれない。もちろん、その逆もある。一人で社会変化を捉えることは難しいが、異なる視点を持った人たちと協力し合うことで、意味ある変化を認識することができる。

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「不確実性の壁」を乗り越える-失敗前提の小規模実験

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

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