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インサイトを知るための「現場調査」

第11回

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現場での3大調査法-観察、インタビュー、没入

 インサイトの獲得には現場調査が欠かせない。現場ではユーザーを「日常生活の専門家」として見ることが重要だ。一般的な考えでは、組織側の人間が製品やサービスの「専門家」、ユーザーが「消費者」だ。しかし、この発想では組織やプロダクトの都合にユーザーを当てはめるだけの恐れがある。人間中心の発想でユーザーの満たされないニーズを明らかにすることで、イノベーションにつながる新たな機会を見出すことができる。

イノベーション実現に向けた3つのステップ図1:イノベーション実現に向けた3つのステップ

 現場調査には常に客観性が求められるが、客観性を追求するために3通りの方法がある。「観察」、「インタビュー」、「没入」だ。

 1つ目の「観察」では最も傍観的に調査を行い、ユーザーと直接関わることなく第三者として行動を把握する。仮に観察対象が「バスを利用する子連れの夫婦」であれば「誰が最初に乗り始めるか」「運賃の支払い方法は何か」といった内容の詳細を見ていくことになる。

現場における3つの調査方法図2:現場における3つの調査方法

 2つ目の「インタビュー」は、ユーザーの声をそのまま受け止めるという点では傍観的、自分自身がユーザーと直接関わるという点では参加型の調査方法だ。事前にいくつか質問項目を用意してストーリーを考えたうえで、相手に寄り添い共感しながら話を聞いていく。

 3つ目の「没入」は参加型の調査方法となる。自分自身がユーザーとなり、対象商品やサービスの「利用者」としてその場に浸りきる。携帯電話のような製品を開発しているのであれば、既存製品や他社の類似商品を何日も使い続ける。飲食店のようなサービスであれば、サラリーマンやOLになりきって平日のランチに必ず該当店舗を利用する。

 これにより、たとえば「混雑時に1人で1品しか注文していないときの『ご注文を繰り返させていただきます』という対応は不要ではないか?」といった疑問点や改善点が見えてくる。ユーザーになりきることで、製品やサービスの繊細な部分に気付くセンスが養われていく。それにより、前回の記事で紹介したインサイトのような言語化されない問題点を体感できるようになるのだ。

 以上3つの調査方法があるが、「どうやって観察を行うか」については最もイメージしにくいのではないだろうか。次ページから、観察の手順、記録のコツ、現場での立ち振舞について順に紹介したい。

次のページ
“客観性を担保した観察の記録”ですべきこと

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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