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「問題定義」はイノベーションへの近道

第13回

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「ほどよい範囲のテーマ設定」が問題解決に繋がる

 では、どの程度の絞り込みを行うべきだろうか。残念ながら、明確な度合いというものは存在しない。テーマによって異なる。共通して言うなら「ほどよく広く、ほどよく狭く」といった表現になる。多分に感覚的なものとなるが、一つの指標は「チームに刺激をもたらし、新しいアイデアが生まれそうか」というものだ。

 たとえば環境問題をうまくビジネスにつなげたいと考えたとする。その際に「世界をよりエコロジーにするには?」というテーマであれば明らかに広すぎる。何をすればいいのかわからないのでアイデアも出しづらい。とはいえ「毎日、朝10分間家の前を綺麗にするには?」と設定したのでは狭すぎる。着眼点というよりは具体的な行動になっており、発展させようがない。ビジネスが入り込めそうな余地もあまり無さそうだ。

 「ほどよい範囲のテーマ設定」を有効に行う上で、IDEOによる以下3つの視点が参考になる。

  1. 価値を提供して喜ばせたいユーザーの問題点を明示する
  2. 製品やサービス自体に焦点を当てすぎない
  3. ユーザーの状況を広めに設定する

ほどよい領域を狙う 図3:ほどよい領域を狙う                                              仮に、使いやすいスマートフォン考えるとする。ここで操作方法がテーマだったとしても「押しやすいボタンをデザインするには?」といった設定では狭すぎる。そうではなく、たとえば「ユーザーが間違ってボタンを押さないようデザインするには?」という設定の方がより好ましい。なぜなら「誤動作」というユーザー視点での問題が明示されており、ユーザーがボタンを押したい時だけでなく「押すつもりがなかった状況」も含まれているからだ。
 問題定義はイノベーションへ通じる道だ。広すぎると歩き疲れるし、狭すぎると歩くのが難しい。問題定義の段階では、抽象的すぎず具体的すぎないテーマを設定するよう心がけよう。

 本稿内の出典・参考文献は以下にまとめます。

  1. スタンフォード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所「スタンフォード・デザイン・ガイド デザイン思考 5つのステップ」一般社団法人デザイン思考研究所編
  2. スタンフォード大学d.school, the K-12 lab
  3. T. ケリー&J. リットマン(2002)『発想する会社!』鈴木主税&秀岡 尚子訳、早川書房
  4. Sony Japan,『Sony History

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

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