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「複業」という生き方

複業は「働き方ではなく、生き方」―成功の第一歩は、ロールモデルを見つけること

第2回:中村龍太さん インタビュー【後編】

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「複業」で重要なのは、公明正大な態度

――龍太さんが、サイボウズ、ダンクソフトという2つの会社で「複業」という働き方を選択している中で、もっとも気をつけていらっしゃることは何ですか。

中村龍太さん(以下、敬称略): 職業上のモラルをきちんと守ることです。各社との契約でも取り決めていますが、インサイダー取引や仕事上の秘密保持には、十分な注意を払っています。 互いの情報を共有することはありません。
 一方で、サイボウズの言葉でいうと、嘘やごまかしをしない「公明正大」な態度も重要です。そのため、僕は何かあったとき、これはオープンにした方がいいと判断したら、必ず、そうします。例えば、商談をしてサイボウズかダンクソフトか、どちらの案件か迷ったら、勝手に自分で決めないで、一社、必要だったら両社に説明します。後ろめたいことはやっていないと、周囲に分かるようにふるまっています。

――会社にいる時間が少ないと、周囲からの信頼を得るのは難しそうです。

龍太: そうですね。僕は普通にやっているだけですが、社員が公明正大だと言っているのだから、信じようという会社側の体制も欠かせません。そして、自分と経営者だけでなくて、時にはチームで働く周囲がそう思ってくれる環境が大事です。
 複業を始めてからの2年間は、そうしたことを馴染ませるための時間であったとも思います。入社してすぐに成果は出ないので、サイボウズのため、ダンクソフトのための業績を積み重ねていく。「ああ、あいつはウチのためにやってるのね」ということを信じてもらう。公明正大なふるまいも重要ですが、それを保証するのは成果物でもあります。そこを勘違いせずに、それぞれの会社と付き合っていくことが、複業を成功させる一番の肝かもしれません。

――そういう点では、複業をスタートさせるときに、サイボウズ、ダンクソフト、それぞれの社長を引き合わせておいたのは、名案でしたね。

龍太: ただ、サイボウズとダンクソフトは、お互いに僕が具体的にどういう仕事をしているか当然知るよしもありません。そこで、複業で2年目を迎えた昨年末、あるwebマガジンの企画で、再度三者で集まり、僕の業績評価をやってもらいました。「実際に、それぞれの活動がそれぞれの会社の成果に、どうつながっているの分かった」、「龍太さんを“サイボウズの龍太さん”だけで見てはダメで、龍太さん全体を見ないといけない」、「シュンペーター(経済学者)によれば、イノベーションは新結合だと言っているが、“複業”はまさしく新結合だ」、「給与体系を“市場性”で決めているが、龍太さんのケースはあまり転職市場にいないから、給与の評価が難しい」など、各社のホンネも聞けて、今後の参考になりました。

――会社にいない時間に何をしているか分かってもらうためには、どういった工夫をされていますか。

龍太: 僕が嘘をついていないことを信じてもらうのに、有効活用できているのがフェイスブックだということに、最近、気づきました。例えば、ダンクソフトのイベントがあって、水・木にサイボウズに出社すべき時間を使って、地方へ出張に行くこともあるんです。サイボウズは行かせてくれるのですが、本当に行っているかどうかは分かりませんよね。嘘をついて、怠けている可能性もあるわけです。もともと地方の良さを広めたいがために日頃から、僕はフェイスブックに写真付きでイベント内容をレポートしているのですが、結果的にサイボウズにもちゃんと伝わる。僕の場合、複業におけるフェイスブックの役割は大きいです。

――サイボウズ、ダンクソフト、龍太さんは、とてもいい関係ですが、そうした関係構築にはどのようなことをすべきでしょうか。

龍太: 自分を介して、それぞれの会社にどんなメリットを与えられるのかを明確に伝えることです。複数の会社で働く場合は、必ずそれぞれの会社で「複業します」と宣言したほうがいい。ただ、会社によっては別の仕事をすることを禁じていたり、好ましく思われなかったりするケースも多い。そのときに「無理だ」と諦めるのではなく、とりあえず言ってみたらいいんです。ただ、単に「複業します」ではなく、自分がこの複業をすることによって「会社にこういうメリットがありますよ」「良かったら、先方の会社に会ってもらえませんか」という流れで進めるのが、好ましいと思います。

――それだけのメリットを明言できる、キャリアや実績が必要になってきますね。

龍太: そうですね。ただ、これから人は減っていくので、会社が人材を確保するためには、複業を許可していかざるを得ないと思います。雇用される側が、雇用する側とフラットな関係になってきている。それが認められる時代になってきている。ひょっとしたら、そんなに仕事ができないとしても、新しく雇って教育するのは大変だから、「古株の社員に週3日いてほしい」ということになるかもしれません。これは10年前、20年前なら、絶対になかったことです。

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