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大企業によるDXの実践知

大企業が抱えるDX推進の“3つの課題”──企業・事業の変革に必要な社外の実践知

第1回(前編)

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大企業が抱えるDX推進“3つの課題”

 高まりを見せているDXですが、企業の事業創出を支援している立場から見て、大企業がDXを推進していくために抱えている課題は、大きく以下の3つがあるように感じます。

  1. 取り組みの目的
  2. 人・組織などの推進体制
  3. 顧客志向

 まず1つ目の「取り組みの目的」についてですが、2016年〜2018年頃の大企業の新規事業開発において「オープンイノベーション」という言葉が流行った動きに似ています。

 当時は、新規事業開発を進める上で「とにかくオープンイノベーションで何かやれないか」という相談も多くありました。今まで実際にオープンイノベーションを実践したことがない方が、会社からいきなり「オープンイノベーション推進室」を用意されて、とにかくやってみろという形でスタートする。そして何から始めたらいいのかわからない、そもそもなぜやらなければいけないかもわからない、という状況でどんどん時間だけが過ぎていき、気づいたら成果を問われ、さらに数年したらその部署はなくなっている、ということも少なからずありました。

 現在の大企業におけるDXの動きにおいても同様に「DX推進室」が各社で立ち上がっているけれども、実際には、「トップから『全社として DXを進めて欲しい』という指示で立ち止まってしまっている」という話を聞くことも多々あります。

 オープンイノベーションと同様に、DXは事業を進める上での“手段”であって“目的”ではありません。それをあらためて理解した上で、自分たちのソリューションを通してやりたいこと、できることは何かを整理していく必要があります。

 また、社内向けの横串組織として構造改革していく場合には、事業部側からの反発があってうまく進まないという話も耳にします。

 自分たちが推し進めている社内DXの結果、どのように効率化されるのか、どのような社内シナジーが生まれるのかなどを含めた明確なビジョンをトップダウンで伝えていくことが重要です。

 2つ目の「人・組織などの推進体制」の課題ですが、これも根強く存在しています。先日住友商事と開催したセミナーでも触れられた話題ですが、「人・組織などの推進体制」はDXに限った話ではなく、“新しいこと”に取り組む人・組織が必ず直面する課題です。

 「人」に関しては、

  • 社内で経験のある人をアサインする
  • 社外から経験者を連れてくる
  • 未経験の人を社内から育てる

という選択肢が存在します。いずれの場合もアプローチが違ってくるので、そのための体制や制度作りをしていく必要があります

 また、社内新規事業提案制度あるあるかもしれませんが、最初から「売上〇〇億円の成果を出せ」という形で結果を求められるという話も聞きます。

 そうではなく、別の指標をKPIとして置きながら達成を目指し、ある程度長い目で見る柔軟さを取り入れることも大事でしょう。「こうすれば必ずうまくいく」という決まった型はないので、置かれた状況や課題に合わせて、自分たちが持っていない“解”について社外の経験者の話を聞くことは、1つの解決策だと思います。

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デジタル化が進むからこそ必要な社外との連携

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この記事の著者

宮川 晶行(ミヤガワ アキユキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

蓮村 俊彰(ハスムラ トシアキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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