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商社から見る物流の将来像

ロボットのサービス化が倉庫の自動化を民主化する──米中の倉庫ロボット最新トレンドと「RaaS」の普及

第2回 倉庫ロボットをSaaS化する

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 2019年には7,504万人だった日本の生産年齢人口は、2030年には6,700万人、2055年には5,000万人を割ると予測されており、物流にも深刻な影響を与えると考えられています。  これまでの物流は、トラックなどの配送車を使って物流を機械化する「ロジスティクス1.0」、クレーンやコンベアを使って荷役を機械化する「ロジスティクス2.0」に続いて、WMS(Warehouse Management System、在庫管理システム)などを導入して物流管理を機械化する「ロジスティクス3.0」を経て、現在は「AI」と「IoT」を駆使した「ロジスティクス4.0」へ移行しつつあります。倉庫ロボットを活用することによって、 物流現場の省人化や効率化が実現されようとしているのです。  今回は、中国やアメリカの最新動向をご紹介し、Robot as a Service(RaaS)に焦点を当てながら、倉庫ロボットがもたらす倉庫の自動化の民主化について解説していきます。

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世界で台頭する倉庫ロボットスタートアップ

 2012年にアマゾンがロボットメーカーのKiva Systems(キバ・システムズ)を7億7,500万ドル(約885億円)で買収した一件を皮切りに、グローバルで倉庫ロボットスタートアップが台頭し、倉庫ロボットの開発競争が始まりました。

 アメリカでは、多数の倉庫自動化を手掛けるスタートアップ企業がプレゼンスを増しており、inVia Robotics(インビアロボティクス)やVecna Robotics(ベクナロボティクス)といった企業名を耳にしたことがある方も多いと思います。アメリカのみならず、中国でもAMR(Autonomous Mobile Robot、自律型ロボット)を開発するSyrius Robotics(シリウスロボティクス)やForward X(フォワードエックス)、ACR(Autonomous Case-handling Robot、自動ケースハンドリングロボット)を開発するHAI Robotics(ハイロボティクス)、立体型仕分けロボットを開発するHC Robotics(エイチシーロボティクス)等のスタートアップ企業が台頭し、しのぎを削っています。

 近年では倉庫ロボットスタートアップ企業の買収も盛んに行われています。2019年には、ECプラットフォーム運営会社であるShopify(ショッピファイ)が、倉庫自動化を得意とする物流ソリューション会社の6 RIVER SYSTEMS(シックスリバーシステムズ)を4億5,000万ドル(約477億円)で買収しました。直近では、2021年8月に物流機器などをグローバルに販売するZebra Technologies(ゼブラ・テクノロジーズ)が、自律搬送ロボットを手掛けるFetch Robotics(フェッチ・ロボティクス)を2億9,000万ドル(約319億円)で買収しています。

 また、倉庫ロボットスタートアップ企業を取り巻く環境として、アメリカでは未公開企業の買収を目的とするSPAC(特別買収目的会社)が高い注目を浴びています。IPOプロセスを簡略化できることからアメリカでのSPACの上場件数および調達額は近年急増しており、SPACを活用した倉庫ロボットスタートアップのIPOも増加すると思われます。

タイトル
出典:内閣官房「成長戦略会議(第11回)配布資料

 このように、倉庫ロボットスタートアップ各社の活発な動きにより、グローバルの倉庫ロボット市場は着々と黎明期から成長期へと向かっています。では、それに対するユーザー企業側の動きはどうなっているのでしょうか。

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三菱商事 物流開発部(ミツビシショウジ ブツリュウカイハツブ)

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