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「人的資本経営」とは何か

伊藤邦雄教授と東京海上日動が語る、経営戦略と人材戦略が連動した「人的資本経営」と人事の「在るべき姿」

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 2020年9月に経済産業省が発行した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書 ~人材版伊藤レポート~」をきっかけとして、日本企業の間でも徐々に広まりつつある「人的資本経営」の考え方。これまでの日本型雇用の仕組みが限界を迎えつつある中で、社員のエンゲージメントを向上させ、人的資本の価値向上を企業価値につなげるという変革が世界的に加速している。  では、そもそもなぜ企業は人的資本経営を実践しなければならないのか。また、それにあわせて企業や経営陣、人事部門のあるべき姿はどのように変化していくのだろうか。今回、2021年11月に開催された「HRカンファレンス2021」において、人材版伊藤レポート作成の中心人物である一橋大学 CFO教育研究センター長 伊藤邦雄氏、そして日本でも極めて先進的な人的資本経営を実践している、東京海上日動火災保険株式会社 常務取締役 北澤健一氏の両氏が登壇。モデレーターを務めるのは、株式会社リンクアンドモチベーション 取締役 川内正直氏。※役職名は取材当時のもの

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日本型雇用が生み出した楽観主義と“人的資源”という考え方

川内 正直氏(以下敬称略):「人的資本経営」の考え方は、2020年9月に経済産業省が発行した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書 ~人材版伊藤レポート~(以下、人材版伊藤レポート)」において大々的に取り上げられ、以降、日本企業の間で徐々に広まってきています。まずは、持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会の座長であり、人的資本経営の第一人者である伊藤邦雄先生から、改めてこの概念についてお話をいただきましょう。

伊藤 邦雄氏(以下敬称略):「人的資本」という概念は、年功序列や終身雇用をはじめとする日本型の雇用、すなわち「メンバーシップ型雇用」が一定の限界を迎えつつあるという考えのもと、提唱されるようになりました。これまでの日本では、皆さんもご存じの通りメンバーシップ型雇用が長らく効果的に続いてきたわけですが、それによって今、多くの企業が新たな問題に直面しているのではないでしょうか。私は今日、3つの大きな問題意識を提唱します。

 1つ目は、「メンバーシップ型雇用は『慣性に基づく楽観主義』というメカニズムを生んだ」という問題です。経営者が社員のエンゲージメントに対して楽観的であったり、社員の離職に対する危機感が薄かったり、それから「社員は皆ついてきてくれるもの」という、「囲い込み」的楽観がすっかり染みついてしまいました。

 2つ目は、「社員を『人的資源』として見ているのではないか」という問題です。「社員はヒトです」というと、皆さん当たり前だと思うかもしれませんが、無意識のうちに社員を「資源」、すなわち管理すべきモノとして見てきた企業はかなり多いです。

 そして、これら2つの問題を踏まえて、「社員の自律性・自立性を削いだのではないか」という3つ目の問題意識を提唱しています。楽観主義や社員を管理するという考え方が、自律性・自立性のある、すなわち他社でも通じる人材の育成を阻害してきたのです。米ギャラップ社の調査によれば、日本企業の従業員エンゲージメントは世界139ヵ国中、132位だそうです。これは偶然の結果でしょうか? このような問題意識を背景として、人材版伊藤レポートは作成されました。

 では、なぜ人材版伊藤レポートなのか? 今回、レポートの中では直接書かれなかった“3つの新たな目線”を紹介しようと思います。

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「人材版伊藤レポート」では直接言及されなかった“3つの目線”

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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