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ビジネスアジリティとデザイン

AI inside 保坂CXOと語る、プロダクト主導型企業の成長痛──変容する組織の課題と乗り越え方

ゲスト:AI inside 株式会社 執行役員 CXO(Chief Experience Officer) 保坂 浩紀氏

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 本連載では、行政、スタートアップ、大企業組織の変革のキーマンをゲストに招き、DX実現に不可欠な「ビジネスアジリティ」をめぐって、経営変革からプロダクトマネジメント、組織変革までを幅広く議論。その実践知に迫る。ホストはコンセントリクス・カタリスト(旧タイガースパイク)の各メンバー。1回目のゲストは、AI inside で執行役員 CXO(Chief Experience Officer)を務める保坂浩紀氏。マザーズ上場を果たしたAIスタートアップがアジリティの維持・向上を目指して行った組織改編と、それに伴う成長痛とは。

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19年にマザーズ上場。創業6年、120人規模のスタートアップ

根岸 慶氏(以下、敬称略):まずはAI insideがどんな会社なのか、その中で保坂さんがCXO(Chief Experience Officer)としてどのような役割を担っているのかから伺いたいと思います。

保坂 浩紀氏(以下、敬称略):AI inside は2015年8月に創業した会社で、19年12月にマザーズに上場、従業員は120人規模まで成長しました。ミッションは「世界中の人・物にAIを届け、豊かな未来社会に貢献する」、ビジョンは「AI inside X」。つまり、あらゆるものにAIを埋め込むことにより、豊かな未来社会に貢献することを目指しています。

 2017年11月に、私たちの主力プロダクトである「DX Suite」をローンチしました。これは帳票をスキャンするとAIが文字をデジタルデータ化する、AI-OCRのプロダクトです。ソフトウェアだけでなく、ハードウェアも自社で開発しており、「DX Suite」ローンチの2年後にはエッジコンピュータ「AI inside Cube」をリリースしました。AIによる推論・学習をするGPU(Graphics Processing Unit)が搭載された機器で、情報の取り扱いが難しい金融機関などのオンプレミスニーズに応えるプロダクトです。さらに2021年4月にはノーコードで簡単にAIモデルを作れるプロダクト「Learning Center」をリリースしました。利用シーンの例としては、クレジットカードの製造現場でホログラムの傷を検知する外観検査業務があります。これまで人が目視で傷の有無をチェックしていた業務を、ホログラムの画像データを学習させて傷検知AIを作成することで自動化できます。

まず「優れたユーザー体験」ありき

根岸:AI insideが大事にしている価値観などはありますか。

保坂:弊社の特徴としてまず強調したいのは、「優れたユーザー体験ありき」という考え方です。優れたユーザー体験があれば多くのユーザーを獲得でき、その分多くのデータが得られ、そこから学習しさらに高価値のAIを産むことができる。このような循環を回すことで、企業としての継続的な成長につなげるという考え方です。

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出典:AI inside 株式会社 ( 東証マザーズ4488)「2022年3月期 第2四半期 決算説明資料」(P9、2021年11月)

 このような循環をビジネスの中心に据えられているのは、弊社CEOがユーザー体験やデザインの力にかなり理解があるおかげもあります。そこに私がCXOとして参画することになりました。組織体制としては、CEOを中心に、その周りにCOO、CFO、CXOがいます。現在はユニット制を敷いており、各CxOの周りには様々なユニットがあります。

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出典:AI inside 株式会社「CAREERS採用情報」より

根岸:貴社でのユニット制とは、具体的にはどのような組織体制なのでしょうか。

保坂:1ユニットは基本、5人程度。CxO-ユニットリーダー-ユニットメンバーという構成で、だいぶフラットな組織と言っていいと思います。CXOである自分が持っているのは「エクスペリエンス・デザイン・グループ」。あらゆるステークホルダーとの接点で一貫して期待を超える体験を提供することをミッションとしています。

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 グループ内には、プロダクトの利用体験をデザインする「UX/UIデザインユニット」と、それ以外のステークホルダーとの接点におけるデザインを担当する「コミュニケーションデザインユニット」の2つがあります。UXはプロダクトに限らず、あらゆるタッチポイントに存在するものと捉えています。なので、それらすべてを最高の体験にしていくことを目指しています。

 正式にユニット制を導入したのも2021年2月から。それまではCEOを頂点としたピラミッド構造の組織でした。改編の理由は大きく2つ。ひとつはまさに意思決定のスピードを上げること、もうひとつはリーダーを育てることにありました。

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この記事の著者

鈴木 陸夫(スズキ アツオ)

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