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ネオ・コーポレート経営

資生堂横田CFOと語る「ワールドクラスの経営」──戦略実行の推進役「カタリスト」としての役割とは?

第5回ゲスト:株式会社資生堂 取締役 エグゼクティブオフィサー CFO 横田貴之氏

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 『ワールドクラスの経営』(ダイヤモンド社)の主著者である日置圭介氏をナビゲーターに、グローバルをビジネス基盤として活躍する企業「ワールドクラス」の“経営の型”を、特にコーポレート部門の観点から明らかにしていく本連載。今回は資生堂の横田貴之CFOを招き、複数の外資系企業を経てファイナンスのキャリアを積み上げてきた横田氏の目に映る日本企業の課題、資生堂のグローバライゼーションのために取り組んでいる財務経理部門の強化策について伺った。

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“ビジネスパートナーとしての財務経理”に欠かせないグローバルIT基盤

日置圭介氏(以下、敬称略):横田さんは資生堂に参画されるまで、住友商事、ダウ・ケミカル日本、GE東芝シリコーン(現・マテリアルズ・ジャパン)、ユニリーバでキャリアを構築されてきました。そこで得たものはどのようなことでしょうか。

横田貴之氏(以下、敬称略):新卒で入社したのが住友商事で、ビジネスの基礎にはファイナンスが必要だと思い、経理部門への配属を希望しそれが叶いました。また、4年目に海外に赴任し、現地法人化に伴う会計システムの導入や予実管理なども経験しました。

 その後米国企業で本格的なファイナンスを学ぼうと思い、ダウ・ケミカル日本、GE東芝シリコーンに入社。この2社では買収後のオペレーション構築、一部事業の投資会社への売却なども経験しました。キャリアにおいてCFOを目指すにはFP&A(業務管理および財務計画の立案、財務データの分析を行う職種またはその業務)の経験は必須であると考え、GE東芝シリコーンで日本と韓国のFP&Aの要職に就き、さらに日本法人のCFOに当たるファイナンス・マネージャーにもなりました。この経験は非常に大きなものでした。

 その後ユニリーバに移り、様々な業務におけるファイナンス分析、具体的にはサプライチェーンやマーケティングなどのROI分析の責任者、ERPの統一プロジェクトにおける財務経理部門でのリード役、ブランドの買収など多くの貴重な経験ができました。その後、2019年11月に資生堂に参画しました。

日置:ダウ・ケミカル、GE、ユニリーバでの経験から、日本企業の財務経理部門が取り組んだほうがいいと感じていることはありますか。

横田:財務経理部門がビジネスパートナーとして、データを分析してビジネス部門をサポートしていく方法論の確立・浸透、体制構築でしょうか。この点が不足していると感じます。例えば中期経営計画などの大きな意思決定には根拠となる説明が必要ですから、どのような構成要素で数字を積み上げていくのかといった点で、ファイナンスが関わります。また、計画承認後は、適切に設定されたKPIをモニターし、必要な行動を起こすための提案をしていく役割があります。事業を推進するためにファイナンスが必須であるという考え方が、外資と日本企業との大きな違いだと感じます。

 もうひとつは、効率化できるところを効率化するということですね。スケールメリットが出るようにプロセスを集約するとか、どんどん簡素化し自動化していくことが必要です。

日置:財務経理部門がビジネスパートナーであるためには、ITを正しく活用し、データを整える、そして、業務を効率化することもすごく大事ですよね。時間の使い方が大きく変わります。

横田:外資系企業では、グローバルでシステムを統一するという考えが基本にあります。ところが日本企業では、海外は統一しても日本だけが別のシステムという場合があります。グローバル全体で同じマスターデータを使い、同じプロセスでやっていくことが重要です。そのことでベストプラクティスをシェアすることや分析もしやすくなりますし、同じKPIで対話ができてベンチマーク比較も効率的に行うことができます。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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