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「イノベーターが泳ぐためのプールをつくれ」JIN紺野氏と西口氏が大企業に示す、イノベーションの羅針盤

ゲスト:Japan Innovation Network 西口 尚宏氏、紺野 登氏

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 日本企業のビジネスモデル変革は、世界に比べて遅れをとっている。その原因は、ここ数年の出来事によるものではない。DXや脱炭素など、世界的なイノベーションの潮流の中で、なぜ日本は遅れ気味なのか。そして、なぜイノベーションが思うように進まないのか。日本企業の経営や事業変革を支援しているほか、政府や国際機関、世界各国のイノベーションハブと連携を行う一般社団法人Japan Innovation Networkの有識者2人に、その原因と乗り越えるための具体的な打開策を訊ねた。世界ではどのようなムーブメントが起こっていて、日本企業はどのような課題を抱えているのだろうか?  対談するのは、同法人のChairperson 理事であるほか、多摩大学大学院教授や日建設計顧問なども務める紺野 登氏と、同法人 代表理事で、上智大学 特任教授やパーソルホールディングスの社外取締役なども務める西口 尚宏氏だ。

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欧米の経営者は“未来”を見ていた 一方、日本企業では……

――日本企業のイノベーションを支えるべく2013年に設立されたJapan Innovation Network(以下、JIN)ですが、その背景にはどのような問題意識があったのですか?

西口 尚宏氏(以下、敬称略):元々の問題意識は、経済産業省の「フロンティア人材研究会」が2013年に「日本企業の経営が世界の基準についていけていないのではないか」と提言したことに端を発しています。

 当時、欧米で高い業績を出している企業の経営者たちを調査したところ、多くの経営者に共通する特徴が得られました。それは、社長は企業の現状維持のために自身の時間を使わず、将来のイノベーション創出に向けて自身のリソースを割いているという実態でした。

 彼ら彼女ら曰く、今ある事業は優秀な現場の社員たちがきっちりこなしてくれるので、社長は未来をつくることに注力すべきだというのです。

 しかし同じ頃、多くの日本企業では、イノベーションは「社内の変わり者がやっている傍流の仕事」だと考えられていました。欧米とは真逆の考え方です。

――そもそもイノベーションに対する意識において、世界とのズレがあったのですね。

西口:そうですね。たとえば日本では、新規事業を始めようとすれば社内で叩かれたり、50万円の予算を引っ張るために100枚以上のレポートを作成しなければならなかったりと、イノベーションを興せるような環境が整った企業はなかなか見られませんでした。

 そこでJINを設立した当初から、我々は「二階建てイノベーション経営」の重要性を訴えてきました。二階建てバス(企業)の中で、一階はキャッシュを安定して生み出す源流の事業、二階はイノベーションを生むための構想活動や、新規事業を担っています。そして、これらは一人の運転手(経営者)の下で共存し、ともに動いていくべきだという考え方です。

――その頃から、日本国内および世界でのイノベーションの潮流はどのように変化してきた印象ですか?

西口:日本で見られた動きとしては、オープンイノベーションブームがありますね。ただ、日本でいわれているようなオープンイノベーションとは、多くの場合「大企業とスタートアップが連携してなにかを生み出すこと」という、非常に狭義なものでした。ピッチコンテストが至るところで開催されたり、世間的なスタートアップへの注目度も上がったり、それ自体は良いことではあるのですが……。

――では、海外では?

西口:まず、JINの設立と同年に、私がある種の歴史的特異点だと考えている出来事がありました。2013年から、ISO(国際標準化機構/International Organization for Standardization)にてイノベーション・マネジメントシステム(Innovation Management System/以下、IMS)の国際規格の設計が始まったのです。これにより、「イノベーション経営」そのものの国際規格が策定され始めました。

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ビジネスモデル変革の流れに乗り遅れた日本企業

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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