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リタ・マクグラス氏が語る、企業がビジネスの転換点を察知するための“8つの問い”とは?

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「一時的競争優位」の時代の特徴

 初めにマクグラス氏は、現在のビジネスの状況について説明した。かつて企業は長期的に競争優位を保とうとビジネスを行ってきたが、現在その期間はどんどん短くなっている。企業は既存ビジネスの競争優位性を保つのではなく、新たな優位性の創造のために転換することが求められる。つまり「一時的競争優位」の時代となっているのだ。

 下図はゲーミング市場の情勢変化を示す図だが、「一時的競争優位」のパターンを確認できる。新たな競争優位性が生まれて勢いを得て利益をもたらすが、やがてテクノロジーや市場のニーズ、競合情勢が変化し、旧来の勢力は力を失い始める。

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 ゲーミング業界はゲームセンターに設置されたアナログなアーケードゲームから始まり、後にソフトウェアとハードウェアに分けられ、自宅の1台のマシンで複数のゲームができるようになって消費者が爆発的に増加した。その後、ポータブルゲームが登場し、WindowsなどのPCでプレイが可能になったが、最近ではゲームの定義自体が変化している。最新のゲーミング情勢は、XRプラットフォームやOculusデバイス、3Dゲームなど仮想と物理が融合した世界でプレイするゲームが登場しているが、これが他の経済分野にも影響し始めているのだ。

 たとえば、大手コンサルティング企業のアクセンチュア社では新入社員研修に使用するため、Oculusデバイスを6万台ほど購入したという。オンライン上でも現実世界と同じように新入社員が研修を受講できるようにするためだ。このようにゲーミングは他の分野にも浸透し始めている。

 今日のビジネスが従来と異なる1つ目のポイントは、競争優位性は変化するということ。実際、現代社会においては変化が当たり前であり、安定している方が珍しいことは誰もが実感しているだろう。そして、それは経営上の大きな課題となり、非常に重要な点だと同氏は話す。なぜなら、競争優位性のフェーズが変われば、経営側にも新たなスキルが必要になるからだ。

 次に従来と異なる2つ目のポイントは、業界の境界線が曖昧になってきたということ。かつて、戦略とは業界に特化したものだった。業界団体が存在し、業界参入の手引書が出回り、旧来の成功の法則に従って魅力的な産業に参入し、優位なポジションの獲得に躍起になる。そして高い参入障壁を築いては長期的にポジションを守ろうとしてきた。

 それが現在は業界の境界が薄れ、最大の競合企業は別の業界にいる可能性がある。すなわち、別の業界の企業によって会社の価値や利便性、そして妥当性を下げられる可能性があるのだ。昔の携帯電話の例では、かつて世界を席巻したノキアやモトローラなどの最大の競合は、電気通信事業者ではなく通信事業にも乗り出したコンピューター会社だった。そして、その後スマートフォンが、懐中電灯やレコーダー、カメラ、通信機器などあらゆる機能を搭載することで、数十の業界の地位を奪うことになった。

 競争の場が“業界”から様々な競技が行われている“競技場(アリーナ)”へ移動したことで、業界ばかりに注目するのではなく、顧客や顧客のしたいこと(ジョブ)を考える必要があると同氏は強調する。

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この記事の著者

比惠島 由理子(ヒエジマ ユリコ)

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