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「遊ぶように仕事をする」SF作家樋口氏が語る、イノベーションを生み出す「SF思考」

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 ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクなど、海外の経営者たちはSFに影響を受け、彼らのようなリーダーの間ではSFの思考法をイノベーションに活かすことは当たり前となっている。一方で、日本のリーダーたちの多くは、イノベーションの経験や、その記憶すらも持っていないだろう。我々は現状を変えてしまうような突飛な考えを持たないように自らに制約を課し、普段から思考や言動、行動を抑えてしまっているのではないだろうか。  今回は、Sansan株式会社のオンラインイベント「Sansan Evolution Week 2022 ビジネスを進化させる5日間」から「イノベーションに活かすSF思考 ~米国テック企業にも影響を与えるサイエンス・フィクション~」と題した講演の様子をお届けする。登壇者はSF作家/外資系企業ITコンサルタントの樋口恭介氏。進行をSansan株式会社デジタル戦略統括室 室長/フリーランスフォトグラファーの柿崎充氏が務めた。考える自由と個性を取り戻し、本当のイノベーションに向かうことのできる「SF思考」とはどのようなものか。樋口氏の著書『未来は予測するものではなく創造するものである――考える自由を取り戻すためのSF思考〉』をベースに議論した。

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妄想ドリブンで未来を創造する「SF思考」とは

柿崎充氏(以下、敬称略): 今回「SF思考」という言葉を初めて耳にする方が多いと思います。樋口さんの著書『未来は予測するものではなく創造するものである――考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』では

SF思考/SFプロトタイピングは、フィクションの力を借りることで、一旦現実から離れ、「何を言っても大丈夫」なフィクションの世界で自由に想像し、仮説を作り、そしてまた現実へと帰ってくることを前提とした方法論です。

と説明されています。また、私は著書を拝読し、SF思考を用いるとオリジナリティ、自分らしさを表現できるのではないかと感じました。

樋口恭介氏(以下、敬称略):そうですね。この講演の視聴者には会社員が多いと思いますが、会社員というものは、「会社が求める仕事」に従事しており、普段は自分を抑えながら生きていますよね。なので、今日この場だけは「自分らしさや自分の願望を考える練習の時間」として楽しんでいただければと思います。

 会社に勤めるということは、予め定義されている自分の役割と責任、つまりロール&レスポンシビリティに基づいて仕事を進めます。たとえば、DX担当者はDXを推進し、人事担当者だったら人を採用して育成しますよね。ただ、与えられたタスクをこなすだけであれば、機械で代替できてしまいます。私は、ロール&レスポンシビリティと人間がそれぞれ持っているオリジナルの思考・行動様式の掛け合わせによって起こるイノベーションにこそ、仕事の面白さがあると考えています。

柿崎:SF思考とイノベーションについて、著書の中で

SF創作は現実の世界とは異なる世界を構築し、その世界のルールをかたちづくっていく作業です。そしてそれはまさしく、イノベーションを起こすためのプロダクトを検討することと変わらない。

と説明されています。つまり、SF思考とは、多様な人と自分の妄想を共有しながら、知と知の結合であるイノベーションに向けてディスカッションできるツールといえます。他の思考法と並べてみると、SF思考の特徴がよりわかりやすくなります。

  • ロジカル思考:誰もが納得する正解を出す
  • デザイン思考:ユーザー視点で課題を解決する
  • アート思考:自分の好きなものを作る
  • SF思考:妄想ドリブンで未来を創造する

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この記事の著者

比惠島 由理子(ヒエジマ ユリコ)

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