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事業開発の意思決定を突破するアプローチ

ロジックだけでは前進しない新規事業開発──社内の意思決定を突破するための方程式とは?

第1回

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 デジタル技術の浸透、DX市場の急騰を背景に、旧来の市場や競争環境の垣根がなくなり、社会全体が凄まじいスピードで変化しています。そのような環境下で、新規事業開発においては机上の検討を経て、試行を重ねながら軌道修正を行える状態に、いかに早く到達するかが非常に重要です。  しかし、企業の意思決定や担当者の上申にあたってのスタンスは、予測が可能であった旧来環境、既存事業の常識を引きずったまま、確実性やロジックを重視する意識が根強く残っていると感じます。“やってみなければわからない”という新規事業開発の前提と、確実性を重視する意識/文化の狭間で、意思決定をどのように突破すべきか。「事業開発と意思決定」をテーマに、事業を実現させていくために必要な事業構想手法について、全3回の連載にて紹介します。

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ロジックだけでは、事業開発の意思決定は突破できない

 事業開発は不確実性の塊であるため、机上での検討から抜け出していかに早く世に出し、試行を重ねながら軌道修正できる状態を作れるかが非常に重要です。

 しかし、DX市場の急騰、デジタルシフトを背景に、事業開発への取り組みを加速させる企業が増える一方で、世に出し、試す機会を得ることなく埋もれていくアイデアが山のように存在します。事業開発において、社内の意思決定を突破することは大きなハードルの一つです。

 意思決定を突破するには、追加で予算やリソースを投資することに足る魅力を、意思決定者に対して伝えなければなりません。しかし、既存事業での活動における意思決定と、新規事業開発における意思決定では必要な要素が異なります。

既存事業と新規事業における意思決定の前提の違い
既存事業と新規事業における意思決定の前提の違い
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 既存事業においては、過去の実績や事業運営を通じて得られた経験値・ノウハウを土台に、数値や計画を精緻なロジックとして組みあげることで、ある程度の確実性を担保することが可能です。そのため、新たな活動に対しての“ロジック”を意思決定者に「理解」してもらうことができれば、承認/意思決定につなげることができます。

 一方、不確実性の塊である新規事業開発においては、そもそも確実性を証明するデータや、過去に取り組んで得られた経験値・ノウハウなどは当然ありません。また、変動する要素も多すぎるため、どれだけロジックを精緻に積み上げ、魅力的な数字や計画を描いたとしても、「頭ではわかるし、理解もできる。ただ、本当に継続投資を行うべきか?」と、意思決定者の懸念を完全に払拭することはできないのです。

 既存事業と新規事業では、そもそもの土台が違うため、意思決定を突破するために必要なアプローチが異なります。

 しかし、企業内で事業開発と向き合っているのは、既存事業において経験と実績を積まれてきた方々が中心です。そのため、既存事業における意思決定に慣れている、染まっている場合が多く、ロジックを積み上げ、確実性を高めることで意思決定を突破するというアプローチが、新規事業においてもそのまま転用/重視されてしまっている場面も多く見られます。

 新規事業開発の意思決定はロジックだけで突破できないにもかかわらず、ロジック重視で意思決定の突破を目指している。このねじれが、企業内の事業開発において“試す機会”を得ることができない大きな原因の一つだと考えています。

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この記事の著者

堀 雅彦(ホリ マサヒコ)

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