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LIXILのグローバル事業戦略を支える「戦略組織」としての知財部門──新たな役割と進化の道筋とは?

PatentSight Summit 2022 レポート Vol.3

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 様々なテクノロジーを活用し、人々の暮らしを支える数々の製品を生み出しているLIXIL。世界150ヵ国で事業を展開し、毎日10億人以上のユーザーが、同社の製品を利用している。そんなLIXILの製品戦略には、知的財産部門(知財部門)が大きな役割を果たしているという。リスク管理や知財保護などのイメージが強い知財部門が、どのように戦略策定や研究開発・商品開発に携わっているのだろうか。  2022年6月3日に開催された「PatentSight Summit 2022『経営の知となるIPコミュニケーション』」にて、株式会社LIXIL 知的財産統括部長 弁理士/AIPE認定 知的財産アナリストの片岡 将己氏が、同社における知財部門の役割と位置づけ、国内外で起こっている知財を取り巻く新たな動きを語った。

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イノベーションとリスクマネジメントを支えるLIXILの知財部門

 「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」をパーパス(存在意義)に掲げ、それを実現するために「正しいことをする」「敬意を持って働く」「実験し、学ぶ」の3つの行動「LIXIL BEHAVIORS」を日々の業務で実践しているというLIXIL。アジャイルで、起業家精神に溢れた企業文化を構築している点が特徴だと片岡 将己氏(以下、片岡氏)は語る。

 LIXILは、窓や浴室、トイレ、ガーデンルームやカーポートなどのエクステリア、そして玄関ドアや床、キッチン、さらには太陽光発電システムやスマートホームを実現するIoTシステム、高性能住宅など、住宅設備に係るほぼすべてのカテゴリーにおいて製品・サービスを提供している、誰もが知る大企業だ。

 現在およそ世界150ヵ国で事業を展開しており、毎日10億人以上のユーザーから製品が使用されている。1949年に創業された「日本建具工業」が同社の始まりで、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー5社を統合したことで、現在の社名になった。それ以降はグローバル事業を拡大するために、北米の配管設備メーカーであるアメリカンスタンダードや、ドイツ発の世界的な水回り製品ブランドであるグローエなどに対し、積極的にM&Aを行ってきた。

 こうした歴史から、LIXILはグローバルの各地域を代表する独自の個性・強みを有するブランドポートフォリオを展開しており、世界中の人々のライフスタイルやニーズに対応していると語る片岡氏。日本国内においては人口が減少傾向にあるものの、世界的には増加傾向にあり、今後は中長期的な経営の方向性として、海外における水回り事業の拡大を目指しているという。

 そして、近年ではデジタル技術への投資も盛んで、タッチレス水栓やLIXIL Toilet Cloud、スマート宅配ボックス、そしてオンラインショールームなど、これまでになかった製品やサービスを次々と生み出している。また、DXにおけるデジタルの民主化や、柔軟な働き方を実現するための人事施策などにも早期から取り組んでおり、イノベーションの風土が整った大企業の一つであるといえるだろう。

 そんな同社の知的財産部門(以下、知財部門)は、CTO(Chief Technology Officer/最高技術責任者)がトップを務めるテクノロジーファンクションに属しており、同社の主要な研究開発拠点がある東京と愛知にオフィスを構える。また、海外においては米国やドイツ、中国、シンガポール、そして南アフリカに知財機能があり、統括部長である片岡氏や、現地の法務部門へ逐次レポートを行っている。

 グローバル全体でみると、知財関係組織のリソースのうち約75%が日本で、残り25%が海外という比率だ。また、LIXILはダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を全社的な戦略目標としており、知財部門においてはメンバーの約半数が女性である。

 知財部門の統括部長である片岡氏は、日頃から直属の上司であるCTOや、業務の中で密に連携することが多いリーガルファンクションを管掌するCLCO(Chief Legal&Compliance Officer)へ、週単位でレポートを行っている。これにより、イノベーションとリスクマネジメントの両方の観点から、経営層と必要なコミュニケーションを取れる体制を実現しているのだという。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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