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ネオ・コーポレート経営

コーポレートガバナンスを成長のツールに──経済産業省 安藤氏に聞く「監督」と「執行」のあるべき関係

第6回ゲスト:経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長 安藤元太氏

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 『ワールドクラスの経営』(ダイヤモンド社)の主著者である日置圭介氏をナビゲーターに、グローバルをビジネス基盤として活躍する企業「ワールドクラス」の“経営の型”を、特にコーポレート部門の観点から明らかにしていく本連載。今回は、制度設計側である経済産業省より安藤元太氏(経済産業政策局 産業組織課長)を招き、2022年7月に改訂されたコーポレート・ガバナンス・システム(CGS)についてのガイドラインのポイントや、企業の収益力強化との関係性などについて伺った。

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何のためのコーポレートガバナンスなのか、原点に立ち返った

日置圭介氏(以下、敬称略):2022年7月、経済産業省は「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)を改訂しました。そもそも経産省がコーポレートガバナンスに取り組むのはなぜか、その背景からお話しいただけますか。

安藤元太(以下、敬称略):この30年間、日本企業の成長が停滞しています。その理由として、90年代には金融市場の問題や内外価格差の問題が議論されていました。ところが、それらの問題が一つひとつ取り除かれていっても、なかなか企業価値が向上しない。そこから、日本でもコーポレートガバナンスを見直していくべきだという近年の議論が始まったのです。

日置:2014年春に、経産省が事務局となり、伊藤元重東京大学大学院教授(当時)が座長となって『日本の「稼ぐ力」創出研究会』を始めたあたりからの流れですね。『「日本再興戦略」改訂2014』にもコーポレートガバナンスが登場していました。

安藤:はい。その頃から一貫して、成長のための方策のひとつとしてガバナンスを捉えているのが、経産省のスタンスです。そして2016年に開始した「CGS(コーポレート・ガバナンス・システム)研究会」で議論し、2017年3月に最初の「CGSガイドライン」を公表しました。

 今回は2018年9月に続く2度目の改訂になりますが、ある意味で原点に回帰しています。ガバナンスの話を深めるほどに、企業の方からは「守らなければいけない規則が増えた」と受け止められていると感じています。なぜガバナンスを変える必要があるのかという点が、実はあまり理解されていないままに進んできたのではないか。そう考え、今回の改訂では、中長期的な価値創造を可能にするために経営を変えるということに立ち返りました。

日置:確かに企業の方と話していても、コーポレートガバナンスコードやガイドラインが細かくなればなるほど理解も対応も難しくなる。個々に言っていることは間違っていないのだけれど、総体として目指すところや期待されていることが分かりづらくなっているという印象を受けました。少し形式に寄りすぎていたものを原則に引き戻すということが、今回のガイドライン改訂の目的だったのですね。

安藤:そうですね。今回のポイントとして、執行側と監督側、双方の機能を強化すべきだと提言しました。ガバナンスが形式的なものと捉えられてしまった原因に、監督の話に注目が集まりすぎたことがあったと考えたからです。

 何のために監督をするのかというと、それは「経営力の強化」です。経営力を強化するためには執行側の機能強化も一緒にやっていかなければいけない。両方を相乗的に進めていくことで、経営戦略も良くなり、ガバナンスの仕組みもきちんと機能するものになる、というのが大きな着眼点でした。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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