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東証プライム上場企業の86%が人的資本情報の測定・開示に向け検討・取り組み──デロイト トーマツ調べ

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 デロイト トーマツ グループ(デロイト トーマツ)は、「人的資本情報開示に関する実態調査」を実施し、その結果を発表した。同調査は、人的資本情報開示に向けた検討・取り組み、および人的資本に関する指標の測定・開示の状況から、課題およびその解決の方向性を明らかにすることを目的としている。

 調査の概要と結果は以下のとおり。

  • 調査期間:2022年7月15日~8月10日
  • 回答企業属性:東京証券所プライム市場上場企業
  • 有効回答企業数:92社

人的資本情報の測定・開示に向けた検討・取り組み状況

 人的資本情報の測定・開示に向け、何らかの検討・取り組みを開始しているプライム上場企業は86%に上った。

図1
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人的資本情報の測定・開示に向けた具体的な検討・取り組みの進捗状況

 人的資本情報の測定・開示に向けて具体的な検討・取り組みを開始している企業のうち、「外部情報調査や社内現状分析」「自社に必要な人的資本情報を特定するための検討」といった、「検討フェーズ」の項目については、過半数が実施。しかし、自社に必要な人的資本情報を特定し、情報を指標化して活用する「決定・実行フェーズ」段階に至っている企業は各項目それぞれ1割前後となった。いずれか1つでも実施している企業を合計しても2割にとどまり、「検討」から「決定・実行」に至る段階において、多くの企業が障壁に直面していることがうかがえるという。

図2
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検討・取り組み状況の段階別に見た制約・課題

 企業が検討・取り組みを進める上での制約・課題と考えられている項目を調査。調査企業全体では、以下の3つに分類される項目を制約・課題に挙げる企業が多かった。

  1. 開示方針・人材戦略の策定(「開示方針の策定」「指標を特定する上での、人材戦略の策定」)
  2. 実施体制の構築(「実施する体制(実務者)」「データ収集・分析ができる人材・組織」)
  3. データ収集・分析の仕組み(「システムやツールの整備」「データの収集しづらさ」)

 「検討フェーズ」にとどまっている企業は、「決定・実施フェーズ」に至っている企業に比べ、1、2、3いずれの項目も制約・課題と認識している割合が高い傾向にあった。

 1. 開示方針・人材戦略は、指標を検討する前提として策定が必要となる。2. 実施体制については、人事部門だけでなく、多くの関係部門(経営企画・財務/経理・IR/広報・サステナビリティ推進・情報システムなど)をとりまとめ、連携させることが求められる。3. データ収集・分析の仕組みは、データの定義や標準化をした上でシステム・ツールを導入することになる。このような相互に関連する3つの要素を実現することの難しさが、「検討」から「決定・実行」に進む際の障壁となっていることが判明したという。

図3
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人的資本に関する各指標の測定・開示の状況

 ISO30414の枠組みに基づいた人的資本に関する各指標項目について、測定・開示の状況を調査した。

「既に測定している」と回答した割合が多い指標

 「多様性」「コンプライアンスと倫理」「労働力の可用性」は、比較的データ収集が容易であり、実際にコーポレート・ガバナンス報告書やサステナビリティ報告書などの媒体で既に開示している企業が多い実態を反映しているといえる。

 「健康・安全・ウェルビーイング」「組織文化」については、これらの項目に直結する人材マネジメント上の近年のテーマ(健康経営推進や従業員エンゲージメント向上)に関する施策を、多くのプライム上場企業が導入していることがうかがえるという。

「(現在はしていないが)今後測定したい」と回答した割合が多い指標

 以下は人的資本の価値向上に強く関連するといえる指標であるが、「(現在はしていないが)今後測定したい」という現状とあるべきのギャップをもつ企業が多いことが確認された。

 「コスト」「生産性」は、人的資本投資の財務的な効果を測る指標。これらを測定するためには、財務領域と人事領域のデータを連携・統合する必要があり、導入にあたっての制約になっていることが考えられる。

 「スキルと能力」「採用・異動・離職」は、企業が価値ある人材をどの程度確保しているか可視化する指標。データの定義や標準化、収集・分析のためのツール・プロセスの整備を行う必要があり、仕組み構築の難しさが課題となっていることが推察されるという。

 「リーダーシップ」「後継者計画」は、現在/将来のリーダー育成の状況を表す指標。タレントマネジメントの制度・ルールを導入することが前提となるという。6割以上の企業が「今後測定したい」と回答する一方、2割の企業は「測定する予定はない」と回答。後継者計画をはじめとするトップタレント育成の慣行が、企業によっては自社になじまないと考えられている可能性があるとしている。

図4
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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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