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「マーケティング・リサーチの現状に関するアンケート」にみる、新たなMRへの関心

日本マーケテンング協会主催講演『踊り場に来たマーケティング・リサーチ』レポート 後編

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今回の記事でお伝えしたいこと

  1. ソーシャル・メディア分析の実施が大幅に増加
  2. モバイル・リサーチが独自の価値を見出し増加
  3. オンライン・コミュニティ・リサーチ(MROC)は微増
  4. ビッグデータはMR領域ではまだ様子見
  5. アイ・トラッキングやニューロ・マーケティングは微減
  6. MRもプロダクトアウトではなく、マーケットアウトの発想が求められる
  7. イノベーションを助けてきたMRが、自らイノベーションが必要な時期にきている

リアルとコンテキストを重視する手法が上位にランクイン

 MRは、実施率、期待度、満足度、寄与度のすべての指標が低下し「踊り場」にきていることは、前回の記事で紹介したとおりです。今回は、「マーケティング・リサーチの現状」の調査報告より、新たなリサーチ手法の実施状況、興味・関心にフォーカスして、考察とともに紹介します。

 本調査の最大の特徴は、アンケートの回答者が企業のリサーチ担当者であることです。本調査は企業が最新のリサーチ手法の利用状況やニーズを内側から知ることのできる唯一の報告となります。

タイトル表1. 新たなリサーチ手法の実施や興味・関心(回答者数:175人)
出典:公益社団法人 日本マーケティング協会 「マーケティング・リサーチの現状 2014年度 調査報告」

1位「ソーシャル・メディア・分析」、3位「テキストマイニング」

 実施率でトップとなったのは「ソーシャル・メディア・分析」、2012年の前回調査からほぼ倍増の24ポイントの増加、3位に「テキストマイニング」がランクイン。これらの躍進はMRにリアルとコンテキストが重視された結果だと考えられます。

 

 UX領域で著名な千葉工業大学デザイン科の山崎教授は、「ユーザー体験が反映されていないリサーチは無意味」と指摘します。例えば、よくあるビールの会場テスト。ビールの飲用シーンは、海で飲むとき、家で飲むとき、友達と飲むとき、ひとりで飲むときとまちまちで、シーンによって味の感じ方、商品の捉え方はまったく異なり、非日常的で無機質な会議室での評価はまったく当てになりません。つまり、このMRの失敗は、ユーザー・エクスペリエンス(体験)が反映されていないためです。一方で、ソーシャル・メディアの中にあるのは、生活者の体験でありリアルそのもの。だからこそ、リアルを追求する「ソーシャル・メディア・分析」が注目されていると考えられます。

 また、膨大なソーシャル・メディアのコメントを分析するためには、高度なテクノロジーが不可欠です。以前の「テキストマイニング」は、頻出ワードのランキングなど単語レベルの分析しかできませんでしたが、ここにきて技術革新によって意味レベルの分析が可能になったことで、「ソーシャル・メディア・分析」と共にその活躍の場を大きく広げていると考えられます。

2位「プロモーション調査」

 「プロモーション調査」については、本調査結果を数字のまま読み取るのは危険です。なぜなら、この言葉が示すものがプロモーションの効果を測定するものなのか、調査結果をもとにPR的なプロモーションをするものなのか、アンケートの手法を活用してプロモーションするものなのか、その受け取り方が人によってまちまちだからです。ちなみに、3番目のケースは、メールなどで広告を出してもなかなか読んでもらえないため、アンケートモニターにアンケートの形で回答を依頼し、回答する中で意識への刷り込みや興味づけを行うものです。日本マーケティング・リサーチ協会はこれをMRとは認めておらず、個人的にも回答者の誤認を前提としたこの手法はいかがなものかと思っていますが、これが2位にランクインした事実は、きちんと受け止める必要があると思います。

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この記事の著者

山崎 晴生(ヤマザキ ハルオ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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