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Indeed、OECDと共同で20カ国のリモートワークに関する労働市場を分析したレポートを発行

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 Indeedは、2022年10月27日に、Indeed Hiring Labエコノミスト 青木雄介氏によるレポート「パンデミック後もリモートワークは継続するか?」(以下、本レポート)を公開した。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、リモートワークへの動きが一気に加速。本レポートでは、IndeedがOECD(経済協力開発機構)とともに、求人検索エンジン「Indeed」上に掲載されたOECD加盟国20カ国の求人情報を分析し、リモートワークと移動規制との関係性、リモートワークの継続性、それから職種による違い等についてまとめている。また日本国内にフォーカスし、リモートワークに関する求人推移の他国との比較に加え、求職者の検索推移についても、政府の規制との関連をまとめた。

 その結果、日本をはじめデジタルインフラが整っている国ではパンデミック収束後もリモートワークは継続することが示唆されたという。

レポート「パンデミック後もリモートワークは継続するか?」主要ポイント

20カ国を対象に分析を行ったところ、リモートワークに言及した求人案件の割合は、2020年1月には平均2.6%に過ぎなかったのが、2022年9月には約9%と、パンデミック前より3倍以上増加。

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この折れ線グラフは、OECD20カ国の2019年1月から2022年9月までの平均で、求人全体に占めるリモートワーク可能な求人の割合と、移動規制の程度を示したもの。求人情報のデータはIndeed、移動規制指数のデータはOxford Covid-19 Government Response Trackerから取得。
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ソフトウェア開発、マーケティング、制作・編集・メディア運営、その他の知識集約的な職種は、リモートワークが最も実現しやすい領域であり、これらの職種でのリモートワークの求人数の割合の増加が最も高くなっている。

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OECD20カ国平均について、2019年とパンデミック期間(2020年-2022年9月時点)でリモートワーク可能な求人の比率平均の差を示したもの。左図が最も小さな変化を示した10職種、右図が最も大きな変化を示した10職種を表す。Indeedデータから算出。
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パンデミック開始以降、リモートワークの求人数の割合の増加は国によっても大きく異なり、ベルギーでは4.2ポイントと増加幅が比較的に小さい一方で、スペインでは17.5ポイントも増加。この国による違いは、政府が課す移動規制の違いによって顕著に説明される結果に。

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この折れ線グラフは、OECD20カ国の2019年1月から2022年9月までの平均で、求人全体に占めるリモートワーク可能な求人の割合と、移動規制の程度を示したもの。求人情報のデータはIndeed、移動規制指数のデータはOxford Covid-19 Government Response Trackerから取得している。
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2021年春以降、移動規制が緩和されたが、特にデジタルインフラが整備されている国では、リモートワークの求人数の割合の顕著な減少は見られず、リモートワークが定着していることが示唆された。

 パンデミックはリモートワーク急増の引き金となりった。IndeedがOECDと共同で20カ国の求人情報を分析したところ、調査対象国全体のリモートワーク可能な求人の平均シェアは、2020年1月には求人案件全体のわずか2.6%であったのに対し、2022年2月には9.5%と3倍以上になっていることがわかった。この増加は、パンデミック関連の移動規制により、在宅でできる業務が多い職業でリモートワークの求人が多くなったことが大きな要因。移動規制が緩和された後も、リモートワーク可能な求人の平均シェアは減らず、直近の2022年9月でも9.1%と2022年2月のピークに近い水準を維持している。

日本の状況は今後より注目される

 日本では、他のOECD諸国と同様に、政府の規制を足がかりに、リモートワークの導入が安定的に増加。注目すべきは、規制のピークやリモートワークの普及が他国と比べて遅れており、直近の2022年9月も規制水準が高いこと。従って、今後パンデミックが落ち着き、規制が徐々に緩和された時に、リモートワークが持続するかどうかがよりポイントであると考えられる。

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この折れ線グラフは、日本の2019年1月から2022年9月までの、求人全体に占めるリモートワーク可能な求人の割合と、移動規制の程度を示したもの。求人情報のデータはIndeed、移動規制指数のデータはOxford Covid-19 Government Response Trackerから取得。
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 求職者はパンデミック以降リモートワークに関心をよせ、その関心は現在(2022年9月時点)も少しずつ増加。リモートワークに関する仕事の検索は、パンデミック前の2019年では全検索の1%だったが、2022年では2%を超えることが多くなった。緊急事態宣言の期間では検索数が減る傾向だが、その直前に求職者は駆け込むように検索しているように見られる。これは、政府の規制が強まった際にリモートワークの求人検索が増えることを示唆しており、政府の規制は企業側の求人だけでなく求職者側の求人検索行動とも連動している。求職者によるリモートワークへの継続的な関心は、企業選択の要因となり、将来的に規制が徐々に緩和されたとしても、企業がリモートワークを継続もしくは拡大するための後押し要因として機能するかもしれないという。

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この折れ線グラフは、日本の2019年1月から2022年9月までのリモートワーク関連の求人検索割合を示したもの。灰色の期間は緊急事態宣言の期間を示す。求人検索のデータはIndeedから、緊急事態宣言の期間の情報については内閣官房のホームページから取得。
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結論:リモートワークは、デジタルインフラが整っている国ではパンデミック後も定着する可能性が高い

 日本を含む OECD 20カ国の求人情報と政府の移動規制のデータを用いて、リモートワークと移動規制との関係性、リモートワークの継続性、そして職種による違い等について分析。Indeedの分析の結果、政府が課した移動規制によってリモートワークが促進されたことが示唆される。しかし、2021年春に規制が緩和されても、特にデジタルインフラが整備されている国では、今のところリモートワークの減少を引き起こしておらず、パンデミック収束後も、リモートワークは継続することが示唆される。

 今後リモートワークの普及から企業や労働者、社会が恩恵を得るには、公共政策において、政策が生産性や福利厚生に潜在的に与えうる効果を最大限に活用していくことが重要であると考えられる。これには、労働者が適切な労働環境(コンピュータ機器、オフィス、育児施設など)を確保すること、ベストマネジメントプラクティスの普及を促進すること(プレゼンティズム文化から労働者の生産性のアウトプット指向の評価への移行など)、誰もが高速で信頼できる安全なインターネット接続にアクセスできるようにすること(地方など)が含まれるかもしれない。

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