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組織力・人材力を高めるポジティブ心理学

ビジネスに活かすポジティブ心理学(1)「楽観と悲観」のセリグマン

第2回

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 従来の心理学はビジネスに活用できる部分は少なかった。しかし、ポジティブ心理学は人が最大限の力を発揮するための学問。また、より良い生き方をするための、また、いきいきと充実して生きるための科学的な研究。これはビジネスに大いに役立つ。今回は、ポジティブ心理学の提唱者、マーティン・セリグマンによる「楽観と悲観の理論」を説明しながらビジネスで活用する事例を紹介しよう。楽観は成功を導く。でも、悲観的に考える必要もある。

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「ポジティブ心理学」は、今までの心理学と何が違うのか?

 ポジティブ心理学は多くの学者によりさまざまな定義をされているが、主な定義をあげると次の通りだ。

  • より良い生き方をするための、またいきいきと充実して生きるための科学的な研究
  • 人の力を最大限に発揮するための科学的な学問
  • 健常な精神状態の人がさらに高いパフォーマンスを発揮するための心理学

 人の力を最大限に発揮するために何をしたらよいかを教えてくれるのが「ポジティブ心理学」だ。また、いきいきと充実して働くための考えるヒントを与えてくるのも「ポジティブ心理学」だ。さらに、組織に取り入れることによって、より高い成果をあげるのことができるのも「ポジティブ心理学」なのだ。

従来の心理学はビジネスでは応用・実践がしにくい

 私ごとで恐縮だが、マネジメントをしているときに様々な課題があった。

  • チャレンジングな目標を達成するためにどうしたらいいか
  • メンバーとの関係を良くするにはどうしたらいいか
  • 目標をみんなで達成するために力を合わせたいのだけどどうしたらいいか
  • チームの力を結束するにはどうしたらいいか

 人と一緒に成果をあげる方法はひとりで取り組む以上に難しく、人と一緒に成果を出すための方法を知りたかった。捉えどころのない人の心を理解し、人と一緒になって進んでいけるかを求めていた。
 人の心を扱うのが心理学と思い、突っ込んで勉強しようと思った。本を読み、カウンセラーの資格を取り、それ以外にも多くの勉強をしたが、数年たっても、ビジネスの現場で使える理論は少なかった。そんな一生懸命さとは裏腹に、カウンセラー資格で学習したことをマネジメントに応用して「人の話を傾聴する」ことばかりしていると、スピードの速い現場ではペースが合わないことも少なからずあった。

 何故、今までの心理学はビジネスに使いにくかったのか? 当時の心理学は「心の病」の研究として、統合失調症やうつ、パニック障害などの病気に関する研究を主に対象としていた。

 そんな時に私が出会ったのが「ポジティブ心理学」であった。

ポジティブ心理学と従来の心理学の違い図1 ポジティブ心理学と従来の心理学の違い
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 私がポジティブ心理学を知ったのが、2005年ごろ。TIMEという雑誌に“The New Science of HAPPINESS”として紹介されていた。「これは面白い」。こんな想いで真剣に英語の文献を読みあさり始めたのが、2008年。毎日が興奮だった。これはビジネスに使える。これこそ日本に必要なことだ。そんな思いが私の心を駆り立てた。
 でも、理論と現実の架け橋が必要だ。いい論文がそのまま埋もれてしまうのがもったいない。そう思って、仲間と一緒に考えるために一般社団法人 ポジティブイノベーションセンターを設立した。

 幅広く活用できるポジティブ心理学だが、様々な研究で行われている実験や証明は、企業においても十分に使えるものがたくさんある。実際に、企業でのリーダーシップ開発、人材開発、さらに組織開発に利用されて成果をあげている。

 人が充実して働き、イキイキと仕事ができるために、どうしたらいいのだろうか? それに答えてくれるのが「ポジティブ心理学」だ。

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楽観的な人は成功する――マーティン・セリグマンの研究

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この記事の著者

渡辺 誠(ワタナベ マコト)

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