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リクルート流、新規事業の「見守り方」と「撤退基準」、アイデア創出の「砂山理論」

鼎談ゲスト:リクルートワークス研究所 副所長 中尾隆一郎氏(後編)

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 ダイヤモンドメディア株式会社の武井浩三代表取締役と、埼玉大学准教授の宇田川元一氏が、リクルートグループでの組織づくりの経験が豊富な中尾隆一郎氏をゲストに迎え、組織について語り合った。前編では事業の成功に向けてメンバーの力を引き出す教育や組織のトップのあり方について、リクルートのしくみが紹介された。後編では、イノベーションの起きる組織のあり方について考える。

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社会課題の変化に応じて、リクルートの新規事業の評価基準も変化する――「スタディサプリ」が生まれた背景

武井(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役 共同創業者):
 リクルートさんというと、消費者とサービス提供者のマッチングを中心にしたビジネスのイメージがあったのですが、最近は事業のバラエティが増してきているような気がしています。「スタディサプリ*1」なんかは、これをリクルートさんが立ち上げて、ここまで育てるのか。すごいなと感心しました。

中尾(株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所 副所長):
 あれは面白いサービスですよね。

武井:
 「スタディサプリ」がリクルートから出てきたというのは、かなりイノベーションなんじゃないかと思っているのですが、これが出てきた背景やきっかけはどんなことだったのでしょうか。

中尾:
 リクルートは創業時から、社会の“不”、つまり社会課題を解決することに取り組んできました。「スタディサプリ」も、地域によって教育機会の格差がある状況を解消しようというものですね。社会課題の解決というのは、これまでのリクルートのタイムスパンとは異なり、数年投資しないとうまくいくかどうか分からない。だからその数年は、投資側(本部)がお金を出しましょう、その代わり口も出しますよ、ということになっています。

宇田川(埼玉大学 人文社会科学研究科 准教授):
 口を出すというのは、具体的にはどういうことを指すんですか?

中尾:
 これはスタディサプリに限った話ではなく、リクルートグループの新規事業開発の際に見られる、投資側と開発側の関係性の一例と思っているのですが、事業がまだ小さいうちは、どんな状態なのか教えてくれ、という話ですね。もしビジネスモデルとしても成立していない状態だったら、今どれだけのビジネスモデルを考えていて、どんな可能性があるのか。その可能性があるかどうかを検証するのもひとつのフェーズなので、検証して1個か2個うまくいきそう、という話になったら、規模をちょっと大きくするわけです。そしてまた、どんな仮説があって、それを検証するために何が必要なのかという話をします。つまり、投資側では「一秒でも早く白黒つけるためにどんな支援をしたらいいんだ?」ということを言っているんだと思いますね。

 例えば3つ問題があるということならば、3つを同時に検証する方法はないのか? あるいは、もしお金を渡したら、人を渡したら、この検証期間を短くできるのか? というようなことを、彼らは言っているんだと思いますです。「無理。どうしても半年かかる」というのであれば、「分かった。半年待っとくね」と言って、ちゃんとやっているかどうかを見ているという感じです。

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