IoTの「進化の4段階」と「カスタムソリューションIoT」の最新事例
次に、IoTソリューションが今後どのように進化していくのか、マイクロソフト社の見方と現状認識が示された。
同社はIoTソリューションの進化には4段階あり、現在はほとんどが最初の「カスタムソリューション」のレベルにあると見ている。菖蒲谷氏はそれを、「きちんと手組みをして、一個一個作り上げていくもの」と説明した。このやり方では、なかなかスケールしないが、次の段階の「リピータブルソリューション」になると、コアな部分がリピータブル、つまり転用可能なかたちになる。その次の「統合ソリューション」の段階になると、部門単位で導入していたようなものが、全社単位、あるいはサプライヤーも含むようなかたちで統合されたものになるという。そして最終的には、特にIoTを意識しなくてもつながっている状態になるだろうということで、菖蒲谷氏はそれを「ユビキタスIoT」と表現した。
現在の「カスタムソリューション」の段階にあるIoTの事例として、マイクロソフトの顧客企業3社の取り組みが紹介された。
飛行機1機につき年間で25万ドル(約2,600万円)のコストを削減
まず1社目は、ロールス・ロイスのジェットエンジン事業での事例だ。同社はマイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure IoT Suite」を使い、航路、気象、エンジン効率、燃料の積載量など、様々なデータを収集して分析し、顧客に提供するシステムを構築することで、デジタルツインを実現した。顧客である航空会社は、メンテナンス業務の最適化や燃費効率の向上を実現し、結果として、燃料消費量を1%最適化することで飛行機1機につき年間で25万ドル(約2,600万円)のコストを削減することができたという。
10万台のエレベーターの「修理や予兆保全などのメンテナンス」
次に紹介されたのは、ドイツのティッセンクルップ社の事例。同社は世界で100万台のエレベーターを稼働させており、その内10万台がAzureにつながっている。各エレベーターから収集されるデータを、修理や予兆保全などのメンテナンス業務を効率化するために活用するほか、最近ではメンテナンス業務の現場でもIoTが活用されている。作業員が「HoloLens」(マイクロソフトのウェアラブルデバイスで、頭に装着し、目の前のレンズにホログラム映像を映し出すことができる)を付け、修理の方法などを映像で見ながら、あるいは遠隔地の社員とSkypeでビデオ通話しながら作業するのだ。