IoTの用途の進化と「リピータブルソリューション」に向けて必要なこと
工作機械の「故障や交換時期の予測」と迅速で適切なサポートの提供
IoTの「カスタムソリューション」の事例の3つ目は、スウェーデンの工作機械メーカーであるサンドビック社だ。同社は販売する工具にセンサーを付けてデータを収集している。その情報はサンドビック社のオペレーションセンターにおける遠隔監視に使われるほか、工具を購入した顧客もタブレットなどで見られるようになっており、交換時期や故障など、様々なアラートが伝えられている。また、CRMのシステムとも連携し、必要な場合は迅速にフィールドサービスの技術者が派遣される。現場では事前に共有された情報を基に万全の装備でサービスが行われ、顧客満足の向上につながっているという。
菖蒲谷氏はこれらの事例について、「IoTを使ってデータを集めて分析するというところから、具体的にアクションをとるところ、それをどういうふうにやっていくかというソリューションへ、どんどん進化している」という実感を語った。
紹介された事例はかなり大掛かりなものであり、1つひとつが個別に開発されているものだ。今後、IoTは第二段階の「リピータブルソリューション」に向かうとマイクロソフトは考えており、菖蒲谷氏はその際のプレイヤーの変化について、次のように予測を示した。
それぞれの立場でIoTに携わる方が、より新しい分野にも入っていかれるのではないかと思っております。たとえば、システム・インテグレーターをやられる方はそれだけではなく、ある程度ISV(Independent Software Developer:独立系のソフトウェア開発会社)的な領域のところを、どういうふうに一緒にやっていくか。たとえばBI(Business Intelligence)や分析といった専門業務のしきい値をどうやって下げていけるか。そういったことによって、これまでは1個1個手組みのソリューションだったものが、リピータブルなかたちになっていくのではないかと考えております。
菖蒲谷氏はこういった変化を促進するマイクロソフトの取り組みとして、各社から販売されているデバイスの中でもAzureへの接続をテスト済みの機器の認証、それを接続するためのステップを提示するプログラム「Azure Certified for IoT」の提供、センサーとゲートウェイなどをセットにしたスターターキットの展開などを挙げた。さらに最近では、マイクロソフトとNTTドコモ、ユニアデックスが組んで製造業およびヘルスケア事業向けのIoTパッケージサービスの提供を始めるなど、業種や用途別のパッケージも登場しているという。
また、接続先であるAzureに関しては、多数の機能の中でも、よくあるIoTのシナリオに必要となるものをパッケージ化し「Azure IoT Suite」として提供、AndroidやiOS、LinuxなどWindows以外のOSにも対応することで、顧客企業が「小さく早くスタートさせる」ことを支援している。