IoTに関わる幅広い製品・サービスを取り揃えながら、パートナーとの協業も重視
菖蒲谷氏は、マイクロソフトのIoTへの取り組みとして、業界標準である「OPC UA(OPC Unified Architecture)」への対応も紹介した。OPC UAとは、「産業オートメーション分野やその他業界における、安全で信頼性あるデータ交換を目的とした相互運用を行うための標準規格」(日本OPC協議会の説明より)であり、インダストリー4.0の推奨規格となっている。先に紹介された「Azure IoT Suite」は、顧客の工場などでこのOPC UAに対応したサーバーが使われていればすぐに接続して機器を可視化できる「Connected Factory」というソリューションも提供している。
また、マイクロソフトではクラウドサービスだけでなく、デバイス側でも「 Intelligent Edge – Intelligent Cloud 」というアプリケーション開発パターンを推奨、提供している。これは、クラウドにたまった大量なデータと高いコンピューティングパワーを使って優良な処理モデルを作りそれを Edge に展開するというものである。同社はそれを「Azure Stream Analytics on edge devices」というサービスで実現している。先の SANDVIK はこの Intelligent Edge を導入することで工作機械の破損や製造製品の破損などのエラーで発生する億単位の損失を回避しようとしている。
マイクロソフトは「地球上のすべての個人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにする」というミッションの下、クラウドサービス、デバイス、ソフトウェアなど、広範な製品・サービスを提供する会社であることから、IoTに関しても幅広いニーズに対応できるのが特徴だ。菖蒲谷氏は「IoTの4要素」としてデバイス、クラウド、分析、統合を挙げ、同社はすべての要素に対応していることを示した。特に、多くのユーザーが使い慣れているExcel、BIツールや「Cortana」のようなAIによるエージェント機能、「HoloLens」など、現場のアクションを変えるための各種ツールも備えている点を強調した。
また、データを扱うということでもう1つ重要となるのが、プライバシーとセキュリティへの対応だ。マイクロソフトはアメリカのペンタゴン(国防総省)に次いで世界に2番目に多くハッカーからの攻撃を受けている組織だという。そのため社内に高度なセキュリティの専門チームを抱え、顧客に提供するプラットフォームにおける安全性への取り組みの歴史も長い。また、お客様のデータを重要視しており、国や行政機関から共有依頼があってもお客様の同意がなければ開示しないというポリシーをもって運用しているのだという。
菖蒲谷氏は最後に、IoTにおいて一番大事なのは、それが1社では実現し得ず、パートナーとの取り組みが必要になってくるということだと述べ、「パートナー様と共に一緒に成功していきたい」という意気込みを述べて講演を締めくくった。