製造業がIoT事業を実現するための「データアナリティクス」における4階層
さらに、今後IoT事業を担っていく製造業においては、研究開発からアフターサービスまでのサプライチェーンに関わるデータアナリティクスは以下の4つの階層に分けられる。
1. 記述的アナリティクス
特定の商材が販売目標に達しているか、また商材ごとの販売量にどれだけの差があるかといった情報を理解するための分析。販売目標と実際の売上高との差分や、傾向などがひと目でわかるような、ビジュアライゼーションが必要になる。最も重要なのはレポートができること。
2. 診断的アナリティクス
「記述的アナリティクス」で算出したデータを基に、さらに高い目標を達成するためにはどうしたらいいのかという方法を導き出すための分析。たとえば、売上高が目標に達していいない場合、その原因は何なのかを発見する段階である。データには様々な項目があり、どのデータが原因に直結しているのか、相互に強く影響しあう項目は何か、ひと目ではわからない。その傾向を細かく分析して算出するのが「診断的アナリティクス」の目的である。
3. 予測的アナリティクス
「診断的アナリティクス」で算出された傾向が一時的なものではなく恒常的なものだった場合、そのデータは将来を予測するためのモデルとして活用できる。「予測的アナリティクス」はこの予測モデルを導き出すために行う。
4. 最適化・指示的アナリティクス
「予測的アナリティクス」で導き出した予測モデルに当てはめた場合、次にどのような行動を起こせば目標が達成できるのか。講じることができる策とその効果を算出するのが「最適化・指示的アナリティクス」。イノベーションの実現に直結するデータアナリティクスである。
この4つの階層において、前半の2つは「事実を理解するための分析」であり、後半の2つは「将来を予測し、行動を決定するための分析」である。それぞれ特性が違うということは、求められている手法も変わってくるということだ。またこの性質の異なるデータアナリティクスを、先に述べた「アナリティクス・ライフサイクル」のフェーズに当てはめた場合、前者は「発見」のフェーズ、後者は「展開」のフェーズとなる。