事例が示す、ビジネスを成功に導く「アナリティクス・ライフサイクル」の高速化
辻氏は、SAS Instituteのソリューションで「アナリティクス・ライフサイクル」実現し、イノベーションの創出に成功した日本企業2社の事例を紹介した。
コピー機の故障予測に「データアナリティクス」を活用──コニカミノルタジャパン
コピー機の故障は大きな損失につながります。そこでデータアナリティクスによって故障の可能性を予測できるようにしました。効率的な点検が行えるので、故障のリスクが減少したのです。また、継続利用を目指した付加価値の創出に『アナリティクス・ライフサイクル』が役立ちました。クライアントごとのトナーの減少傾向を数値化することで、なくなりそうな色だけを、なくなる前に配送することができるようになったのです。コニカミノルタ様では、『アナリティクス・ライフサイクル』を活用することで、このようなイノベーション事例を半年間で60種類も成し遂げることができました。
熟練の職人のスキルを「データアナリティクス」で継承し品質のバラつきを軽減──ブリヂストン
周囲の環境や原料の特性は品質に大きく影響します。なかには長年の経験に裏打ちされたスキルによってケースバイケースの調整が可能な従業員もいますが、すべての人がそれを実現できるわけではありません。そこで、熟練職人の頭の中にあった知恵やスキルをデータとして機械に学習させ、アルゴリズムを作成。品質のバラつきを軽減させることに成功しました。
イノベーションを実現しビジネスを成功に導く「アナリティクス・ライフサイクル」。辻氏は、以下のようにこの講演を締めくくった。
ビジネスのゴールを達成するには、予測モデルの精度を高めることが一番の近道。そしてそのために必要なのが『アナリティクス・ライフサイクル』です。『アナリティクス・ライフサイクル』は試行を繰り返すことでさらに精度が高まってきます。
このサイクルをなるべく高速で回すには、そこに関わる人々の役割を明確化する必要があります。なぜなら『発見』のフェーズと『展開』のフェーズでは、最適な手法や求められる結果が全く違うからです。
これまで様々なクライアント様と関わってきましたが、『アナリティクス・ライフサイクル』のため、新たに組織を編成した方が成功する確率は高いといえます。新たな組織の編成が必要か否かは、一概には言えませんが、職種によって求められる役割が全く異なること、そしてそれぞれの専門家を育成する必要があることを正しく理解しなければなりません。
イノベーションの実現には『アナリティクス・ライフサイクル』をいかに早く回していくかを意識していく必要があるでしょう。