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IoTサービスデザインによる「IoT進化論」

IoTを“ビジネスに変換する”、「類推的問題解決」と「9つの着想パターン」とは?

第3回

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IoT以外でも適用可能な「事例→パターン化→別のことに応用」という流れでの着想

 IoTの事例は昨今たくさんありますが、いくら事例をたくさん見ても、それだけでは自分のビジネスにおける活用は思いつかないものです。事例で示されるのはそのビジネス、その状況での非常に具体的な話であって、自分のビジネスとは何から何まで違うのですから、どの箇所を参考にすればいいのか分かりません。

 かといって、あまり抽象化しすぎると、一般論になってしまいます。例えば、「この事例はビジネス上の問題をセンサーの技術で解決している例だ」と言われても何の着想の役にも立たないでしょう。「データの流れや活用の目的となるKGIは同じだが、使うデータの種類やKPIは異なる」といったように、抽象度が適度に同じところと違うところが混在するほうが、着想の役に立つといえます。

 一つの例で考えてみましょう。

ビル内の火災があった際に、消火には大量の放水が必要です。しかし、あまり水圧を強くするとビル自体が壊れてしまいます。どうすればよいでしょう?

 このような場合、多方面から水圧を低く放水することで、外側には強い力を加えず、大量の水を内側の火に集中させるという方法が考えられます。

 では、別の例でも考えてみましょう。

ガンへの対処として放射線治療という手段があります。ガンを消すには強い放射線を当てる必要があります。しかし、あまり放射線が強いと外側の健康な体も破壊してしまいます。どうすればよいでしょう?

 このような場合、弱い放射線を多方面から当てることで、外側の健康な体は壊さず内側のガンに放射線を集中させるという方法が考えられます(「類推的問題解決における目標の役割」、太田と山崎、Japanese Journal of Educational Psychology, 1995, 43, 1-11を参考にした)。

 パッと思いついて普通だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが意外に難しいのです。

 ひとつめの例を消火活動の話と理解したヒトは、二つめの例は全くの別の例と感じるでしょう。ひとつめの例は力を分散させるが一点に集中させることで、外側には弱く内側に強い力を当てることができると理解したヒトは、二つめの例を同じパターンの問題と考え解決策を着想できたでしょう。

 つまり「事例→パターン化→別のことに応用」という流れが着想には大切です。

着想における適度な抽象化の意義(図1)着想における適度な抽象化の意義

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この記事の著者

大黒 健一(ダイコク ケンイチ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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