「ムーンショット構想力」とは、自ら創り出そうとするイノベーションに“周辺を巻き込む力”
これからは国境も産業の境界線も大きく崩れ去ります。そのなかで少しでも人目を引くためには、大きな夢を語る、つまりムーンショットを掲げるということも必要でしょう。シリコンバレーには、「注目されないと何も起きない(Be known is better than be nothing.)」という言葉があります。シリコンバレーは競争の激しい世界ですから、良くも悪くも知られないと何も起きないし、たとえ悪評であっても気づかれずに消えていくよりはマシという考え方です。
ムーンショットとは壮大な夢のことですが、そこが意味するのは、掲げたムーンショットが組織の志になり、仲間を引き付け、技術の集積につながり、投資を生むという考え方です。世界で一番有名なムーンショットの例はケネディ大統領のアポロ計画でしょう。壮大な夢と思われたこの計画により、人類の宇宙に関するテクノロジー革新を呼び起こしました。