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電通デジタル加形氏が語る、モノづくり企業の「イノベーションのジレンマ」──共食いを回避する3つの鍵

Biz/Zine Day 2018 Summer セミナーレポート Vol.2

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カスタマージャーニーから新規事業の種を発見する方法

現在の問題点を抽出するとなると、「営業のここが悪い」「企画のここが不十分だ」というポジショントークが噴出し、大変とげとげしいことになりかねません。しかし、改めて知っているようで見過ごしてしまうことも多い「お客様像」に部署を超えてメンバー全員で向き合うことで、問題点も自然に浮かび上がり、ポジティブなアイディアも出てきます。さらにいろんな部署から情報を集めて詳細なカスタマージャーニーを描く中で、自分たちのポジションから見えなかった情報を持っていることがわかり、協力体制もとりやすくなります。

 事例ではマンションの検討段階から購入、入居、さらにはマンション理事会の理事として活動するまでの12年にわたるカスタマージャーニーを作成し、変化していくライフステージなども想定しながら、ビジネスになる接点をみつけるという作業を行なったという。

 そして、その上で企業理念に立ち返り、具体的に何を提供するのかを考えながら、改めて方向性を規定していく。すると、カスタマージャーニーの課題を解くためのアイディアが自然と出てくる。つまり、お客様の気持ちがわかり、さらにお客様の行動がわかり、その上で会社として方針を改めて理解する、という基礎固めをしっかり行なってから、ようやく肝心のアイディアづくりをスタートすることになる。

 事例ではだいたい1日半ほどの時間を費やし、20人が集まった中で、品質はバラバラながら100~150ほどビジネスのアイディアが出された。さらにシェアリングエコノミーやオンライン決済などの普及を踏まえ、「近未来の社会はどうなるのか」という未来予測の視点も加味しながら、アイディアをさらに膨らませていった。そしてその後に「実際に実現できるのか」「本当に顧客はうれしいのか」という点などから、有力なものに絞り込んだ。

加形拓也

 たとえば、カスタマージャーニー上の顧客が不満に思うポイントとして、モデルルームでマンション購入の契約をしたあと入居するまでに「売りっぱなしで放置されがち」な期間が半年~1年間あることが多い。もちろん建設の時間であるため必然ではあるのだが、その間に入居予定者へのケアをきちんと行い、情報提供をし続けることで、入居後の管理サービスへのスムーズな移行も叶うと思われた。

 また、情報提供ができるアカウントを開設してもらうことで、この期間に新居の間取りにぴったりの家具を販売するなど、新しいビジネスの可能性もあるのではないか、というアイディアが出た。このアイディアの具体化策として、これまであまり活用されていなかったマンションの管理用のウェブサイトを、入居前から使えるようにし、入居前の様々な悩みごとへの対応や、家具などのウェブ通販の接点として使用することにした。

 すべてのセグメント×カスタマージャーニーに経営資源を投資するのは非効率だが、自社・ブランドにとっての「優良顧客化転換点」になる可能性が高いという“点”が見つかれば、そこに注力できる。しかし、オンラインの時代、「デジタル顧客基盤を築く」ということは、ある一定の部分でつながりができると、その後もオンラインで引き続きコミュニケーションが可能になる。全ての期間における課題を解決する可能性がでてくるわけだ。

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既存市場や領域を起点に新しい領域へと展開するコツ「サービスの立体化」とは

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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