ドイツのバウハウスを源流に持つデザインスクールIDとは
最初に登壇したのは、デザイン・イノベーション・ファームTakramのディレクター/ビジネスデザイナー佐々木康裕氏。講演では「自身のデザインスクール留学体験」と「ビジネスデザイン」の2点に関して、語った。
「イリノイ工科大学デザインスクール(Illinois Institute of Technology Institute of Design、以下ID)を一言で総称するなら、『0→1担当者養成学校』と言えます。デザインスクールと言うと、日本では美大や芸大を思い浮かべるかもしれませんが、IDはビジネスの0→1フェーズに役立つ内容を学ぶことができます」
IDは、ドイツのデザイン教育機関バウハウスを源流に持つデザインスクール。1937年、元バウハウスのモホリ=ナジ・ラースロー氏が渡米し、シカゴに開設した学校が「ニュー・バウハウス」だ。1949年、ニューバウスは「イリノイ工科大学」(Illinois Institute of Technology )に吸収され、現在はイリノイ工科大学の一部として存続する。
バウハウスに源流を持つIDでは、どのような0→1フェーズの学習ができるのだろうか。佐々木氏は名物カリキュラムを紹介した。
「IDには『Ten Types of Innovation』の著者で、デザインファームDoblinの創業者ラリー・キーリーという名物教授がいます。授業で突然、『Appleでアプリを購入すると、少し後にレシートがメールで送られてくるが、その理由を答えなさい』と、聞かれたことがありました。皆さんはその理由がわかりますか?」
答えは、租税回避策としてAppleが子会社をアイルランドに置いたため、メール送付のタイミングが遅れるというもの(2020年までの猶予付きで、現在はフランス・ジャージーに同様な理由で子会社が置かれている)。
財務・経理上の知識をデザイナーに求める。まさに、佐々木氏がビズジンで執筆したコラム『財務諸表が読めるデザイナー「ビジネスデザイナー」とは何者か?』のような教育が展開されている。