CVCの本質を知るためにまずVCを知る。ファンド出資構成によるVCの分類
CVCは「コーポレートベンチャーキャピタル」という名前からわかるように、VC(ベンチャーキャピタル)から派生した業態です。その本質を理解するために、まずはVCをよく知るところから始めたいと思います。
VCの事業活動は、投資をするための資金を集める「資金調達活動」と、集めた資金を投資運用して収益を上げる「投資運用活動」に大きく分けられます。
まず、前者の資金調達活動は、資金調達先とそのファンド(調達した資金の総称)の出資構成により、3タイプのVCがあることがわかります。
1つ目は、1社または1人の投資家が、そのファンドすべての資金を出資する形態で、生損保、銀行などの金融機関や大手事業会社、大口個人投資家(いわゆるファミリーオフィス)など、多額の資産を持つ法人・個人が、自身のVCを設立するようなケースです。出資者の意向を反映させやすいので、この形態をとるCVCも多いようです。
2つ目は、複数の投資家から小口で資金を集める形態で、主に独立系のVCが資金を集めるようなケースになります。出資者は、金融機関、事業法人、個人投資家など、一般的な投資家が中心となります。ベンチャー企業への投資は、出資者と運用者の情報格差が大きい運用手法であるため、不特定多数の一般投資家から資金を集める場合、投資家保護の観点からより厳しい法的規制がかかります。また、一般投資家は運用益目的で出資するため、この形態のVCは運用益確保を目的とすることがほとんどです。
3つ目は、1つ目と2つ目のハイブリッド型で、メインスポンサーとなる大口投資家と、それ以外の複数の小口一般投資家で構成される形態です。この形態をとるVCには、最初の募集は大口投資家のみでスタート(一つ目のケース)して、運用実績を積んだ後、外部の一般投資家からの出資を集め、運用資金を大きくしていくような事例があります。この場合も一般投資家が存在するため、運用益確保が第一の目的となりますが、大口投資家の意向をある程度反映させるケースもあります。
このように分類すると、VCの活動目的とその資金調達方法が大きく関係しており、CVCを作りやすいのは、大口出資者の意向が反映できる1つ目の形態であることがわかります。
以下は、それぞれの形態の主要な日本のVCになります。