メーカーによるサブスクサービスと、製薬会社によるIoT機器
最初に、ヤマハ発動機株式会社の深見剛彦氏が、自身が立ち上げから携わってきたバイクのサブスクリプションサービスについて紹介した。
バイク市場は年々縮小しており、普通自動二輪車免許(中型免許)取得者の約25%がバイクの利用経験がないという自動車工業会の調査結果もある。この“眠っている”免許取得者たちがバイクに乗るきっかけとなるサービスが、深見氏が主導する月額制のバイク貸し出しサービス「月極ライダー」だ。利用者に気軽なバイクの所有体験を提供することで、休眠していた免許所有者を掘り起こし、業界の活性化につなげようという意図がある。
このサービスで特徴的なのが、ヤマハ発動機は販売店と利用者をつなげるプラットフォームシステムの運営のみを担う点だ。自社のアセットを活用するケースも多い製造業の新規事業だが、あえてアセットを使わないビジネスに挑戦したと深見氏は話した。
続いて、エーザイ株式会社の辻本道彦氏が、自身が開発したIoT服薬支援機器について紹介した。
現場の生の声・課題を理解することを重視するエーザイに所属する辻本氏は、患者との交流会や医療施設に何度も足を運び、実際に現場体験をしながらソリューションのテーマを掘り起こす。そして、IoT服薬支援機器「eお薬さん」を開発し、新規事業のアセットとして展開するようになったのだという。
この「eお薬さん」は、指定時刻に決められた量の服薬を促すことで、飲み忘れや過量服薬の防止をサポートする。また、クラウドを介して患者の家族や薬剤師、ケアマネージャーなどの関係者が服薬状況を確認できる見守りサポート機能も搭載。“服薬”を軸にした新たなコミュニケーションツールとして広まりつつある。
ここからモデレーターの梶川氏は、なぜバイクメーカーであるヤマハ発動機がプラットフォームの運営に乗り出し、製薬会社であるエーザイが服薬支援機器を開発するようになったのかを聞いていく。