“進化するCtoCビジネス”が抱える課題とは
株式会社ガイアックス 上田 祐司氏(以下、敬称略):様々な分野の方々にお集まりいただきましたが、まずシェアリングエコノミーのキープレイヤーといえるUber Eatsの武藤さんにお聞きしたいと思います。CtoCの信用の築き方や改善策、実際に抱えている課題感などをお聞かせください。
Uber Eats 日本代表 武藤 友木子氏(以下、敬称略):「CtoCの信用」と聞いて思うのは、意外に歴史はあるぞ、ということです。例えばオークションサイトのようなマーケットプレイス型のビジネスモデルは20年ほど前から始まっています。そのなかで口コミやレビューなどのレイティングの普及に伴い20年の時を経て、より細分化・高度化され、進化してきたと思います。
Uber Eatsで今提供しているレイティングも同様です。また、レイティング以外にも、例えば配達パートナーの保険は全てUber Eats 側で負担するなど、より安全性を高めるようなサポートを徹底しています。その一方で、CtoC間にある安全性の確保はまだまだ課題として残っています。
というのも、現在のCtoCがこれまでのCtoCと何が違うのかという理解や整理が必要です。シェアリングエコノミーという概念が普及してきたことで、BtoCでいえば、B(ビジネス)の部分を大きくCが担ってきていることだと思います。そのような状況では、様々なデータを保有する企業や行政と協力しながら、時代に合わせた制度の整備が今後必要になってくると思っています。
上田:なるほど。個人同士であれば大きな問題にならない一方で、ビジネス機能としてCが担う部分が大きくなると、様々な制度面も、高次元になっていくということですね。では、法律の見地から見て、水野さんはどんな見解をお持ちですか?
シティライツ法律事務所 弁護士 水野 祐氏(以下、敬称略):武藤さんがお話されていた通りで、昔ながらのCtoCサービスに対応した法律などのルールは整備されてきていてますよね。本人確認やセキュリティの観点での法規制や改正もありました。ただ、現在シェアリングエコノミーで語られるようなカテゴリは、純粋なBでもCでもなくBとCの中間みたいな位置づけですよね。この曖昧なカテゴリをどう経済圏として大きく育てていくかが求められていると思います。
レイティングの信用性についても問題視されることもあり、レイティングの精緻化、透明性の確保を各企業が取り組んでいる状況で、法律のルール・ガイドラインの整備においても、今後どのように担保していくのかが課題です。
CtoC経済圏にいるプレイヤーは、労働者なのか業務委託なのかという観点もあります。どちらかに当てはめるというよりは、新しいカテゴリを作ったほうが良いと考えています。法律もこの新たな働き方に柔軟に合わせいく必要がありますが、その仕組みが今のところまだ見つかっていないことが課題ですね。